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Weps うち明け話 #1099

2チーム分(2021年9月10日)

 

 いまレッズの登録選手は28人(プロ契約選手のみ)。GKが3人にFP(フィールドプレーヤー)が25人だ。

 その人数がいれば2チームは作れる。2チーム作れなかったら紅白戦もできないから最少でも22人は必要だし、あまりギリギリだとケガ人が出ると選手だけで11対11ができなくなるから、今の人数は妥当なところだと思う。多少の差はあっても、J1のチームはだいたいこんなものではないか。横着者だから19チーム全部を調べていないが。

 

 だが2チーム分の人数がいるのと、2チーム分の戦力があるというのは同じではない。

 今のレッズは2チーム分の戦力があると言われているし、僕もそう思っていたが、先日それを明確に証明する機会があった。

 

 オフ明けの9月7日(火)。大原での練習で、5日の川崎戦に先発したFP10人がアップを終えた段階で室内練習場に移動した後、ピッチで練習する選手たちを見ているうちに自然と布陣が頭に浮かんできた。

 GKは西川と彩艶の2人がリーグ戦に出場している。DFは右から西、酒井、槙野、山中。ボランチに敦樹と金子。サイドハーフは右に大久保、左に達也。FWはキャスパーと興梠の2トップ。今季リーグ戦に出場実績のある選手たちで11人を組めた。

 酒井がセンターバックというのはレッズでは初めてだけど問題ないだろう。特長が異なるキャスパーと興梠のコンビは威力を感じるし、サイドハーフの左右はこの方が2人からシュートを期待できる。このメンバーで普通に戦える、というよりは楽しみなメンバーでもある。

 つまりは、今のレッズには2チーム分の戦力がある、ということが確認できた。

 

 これもリカルド監督が、チームに新しい戦術を浸透させるという作業をやりながらも、起用する選手を固定してこなかったからに他ならない。そして複数のポジションをこなせる選手が多くなったことも要因になる。単にポジションに選手を当てはめるだけなら、どのチームもできるが、リーグ戦で実績のある選手が2チーム分いることが必要なのだ。出る選手によってチームの色も少し変わるが、それは個性の違いであって戦力ダウンではないだろう。

 

 しかし「2チーム分の戦力を保有していること」イコール「強いこと」ではない。

 今は、中位から少し上に位置するぐらいの強さを持ったチームが2組できる戦力はある、ということであり、そのレベルのチームが3組あろうと4組あろうと、そこから上にはいけない。

 

 同等の力を持った選手が大勢いることのメリットは、まず連戦を勝ち抜くのに必要だということがある。

 もう一つは、チーム内のライバルより少しでも前に出るための努力に拍車をかける、ということだ。特にレッズはこの夏の新加入によって、それが増幅された。

 その切磋琢磨によって、今より強いチーム、つまり3位を奪えるチームが2組になることを期待したいし、さらにその上に迫るチームが2組できていくことで、来季の戦いに勝ち抜く準備ができる。

 

 劇的なルヴァンカップ準決勝進出を果たしたことで勢いはついているが、公式戦の勝敗で言うと4連勝のあと3分け。7試合負けなしと言えるが、ここ3試合勝ちがない、とも言えるのだ。

 連戦が終わって、次からは多くの選手が疲労から回復して万全に近い準備で臨めるだろう。連戦ではレッズの総力が試されたが、横浜FC戦から神戸戦まで毎週土曜日の4試合では、レッズの最高値が測られる。

 戦う中で最高値を上げ、その結果、総力も上げていって欲しい。

 

 10月の浦和レッズが、高いレベルで2チーム分の戦力になっていることが、ルヴァンカップ決勝進出を始め天皇杯やリーグ戦終盤の戦いを勝ち進んでいくカギになる。


(文:清尾 淳)