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Weps うち明け話 #1105

絶好の解答用紙(2021年10月26日)

 

 10月22日(金)の柏戦は、雨も降っていたし寒いし平日なのに19時キックオフだし、「なんでウチらだけ今日なんだよ!」と感じたサポーターも少なくなかったのではないか。

 しかし終わってみれば今季最多の5得点。11,172人という、前週のG大阪戦を上回る入場者があった。

 何よりも、前節・G大阪戦で出された、多くのチャンスを作りながら流れの中で得点できないという宿題に答えを出した勝利だった。そして試合が進むにつれて、新しい宿題が僕の頭の中で生まれそうになっては解決していった。

 

 まず一つ。

 3-0とリードした後、柏に1点を返された。

 33分で3-1。柏が息を吹き返し、点の取り合いになってもおかしくない流れだった。次の点をどっちが取るかで展開が変わると思われた。

 終了間際だったが、キャスパーがレッズの4点目を決めた。柏に行きかけた流れを抑えて前半を終えた。

 

 二つ目。

 前半4-1。楽観的に考えると後半も2~3点は取れるんじゃないか、取って欲しいという気持ちになるが、相手もそのままではないからそう単純ではない。過去には、前半大量得点、後半は防戦一方で無得点などという試合もあった。柏戦は後半も点が取れるかどうかがポイントだった。

 59分に江坂が取った。左サイドで小泉にスルーパスを送ると、すかさず逆サイドに移動し、小泉のクロスを受けてシュートするという忍者みたいなプレーだった。関根がゴール前に動いてDFを引き付けることで江坂が入るスペースができたことも見逃せない連係だった。

 このゴールで、二つ目の課題も宿題にならず、この試合のうちにクリアした。

 

 そして三つ目。

 65分に3人替え。関根→達也、江坂→大久保、山中→宇賀神。メンバーが替わっても点が取れるか。そして失点を防げるか。これが最後の課題だと思った。

 結論から言うと、得点はなく、失点もなかった。僕が感じた最後の課題は、前者が宿題として積み残され、後者がクリアされた。

 

 ただ65分以降も大きなチャンスは多かった。

 大久保のプレーに限っても、71分にボールを持つとゴール前へのパスコースをうかがった後、自分でシュート。GKに弾かれたが、誰か詰めていればという可能性もあった。

 その10分後、二列目から相手の守備ラインの裏へスルーパス。達也が走るも、わずかにGKが早くボールに到達した。

 そして87分、宇賀神が倒されて得たFKを蹴り、ファーサイドの酒井が待ち構えてヘディング。ゴールを割る寸前にGKに触られた。

 大久保が絡んだ場面だけでもこれだけのビッグチャンスがあった。

 

 大久保は、G大阪戦後、自分自身が次のステップに進むための課題としていた、ゴールに向かうプレーがほとんど出せなかったと悔しい表情を見せていた。今回は、少しゴールの匂いがしたことで、手ごたえをつかんでいるのではないかと思ったが、本人は、結果としては何も残せていない、とよけいに悔しさをにじませている。

 その悔しさをネガティブにとらえる必要はない。柏戦ではFWに入ったということもあっただろうが、G大阪戦よりゴールに近づくプレーができていたことは間違いないのだ。

 

 チームはG大阪戦で出された宿題を埼スタのピッチという解答用紙の上で解き明かしてみせた。

 大久保が自分自身に残された宿題を、10月16日と同じG大阪を相手に、パナスタで解いてみせればいい。ある意味では絶好の解答用紙ではないか。

 

 明日、浦和レッズが天皇杯ベスト4への扉を開くことを期待している。

 

(文:清尾 淳)