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Weps うち明け話 #1111

MDP623号―2021年11月27日/清水戦(2021年11月26日)

 

 1年ぶりにMDPの製作に没頭した2週間だった。

 平川忠亮引退試合特別号にも携わらせてもらったが、引退試合のものは通常のMDPとは全く違う。引退試合のMDPでは、今のレッズがどうなのか、というところに比重はかからないし、なにより対象となる試合に「勝とう!」という雰囲気が必要なものではないからだ。

 

 ホームゲームのMDPは、何より「MatchDay」のプログラムだ。

 今シーズン、通常の試合で発行されるのは明日の清水戦が初めてであり、編集体制が変わってからの第1号となる。体裁が大きく変わるのが楽しみでもある。

 一方でシーズン最終号であること、久しぶりにリーグ戦がまだ1試合あること、さらに天皇杯ベスト4に残っているということ、そして浦和レッズに大きな貢献をしてくれた3人のラストホームゲームというさまざまな要素を含んだMDPになった。

 特に僕が担当したのは、阿部勇樹、宇賀神友弥、槙野智章の特集や今シーズンの振り返り、選手のロングインタビューなど、直接「MatchDay」に関わらないものが多かったので、MDPというよりは「イヤーブック」を作っているような感覚のときもあった。

 

 だが、それぞれの原稿を実際に書き終えたときの感想。

 3人の特集も、今季の振り返りも、ロングインタビューも、すべてこの試合―、ホーム最終節の清水戦を、全力で闘って勝ちたい!という気持ちに、僕自身がなった。

 

 多くの人が「自分が欲しい」情報を手軽に(有料にしても比較的廉価で)入手できるこの時代。レッズのオフィシャル系でもビビッドな情報があふれている中で、印刷物が果たす役割は何なのか。

 ここ2年間、いや数年前から突きつけられてきたテーマで、はっきりした解答は見いだせない。

 だが少なくとも明日のMDP623号については、答えることができそうだ。

 

 試合に勝つための武器として一つの形にまとまったもの。

 読むことで闘う衝動が湧き、手にすることでその感情が持続するもの。

 僕自身、まだ冊子になったものを見ていないが、そんなMDPになっていると思う。

 

 1年ぶりの疲労感が心地良い。

 

EXTRA

 昨季の最終号もそうだったが、イヤーブックが写真集化してきた近年、1シーズンを概括したものがMDPのシーズン最終号以外にない、ということに気が付く。MDP最終号がその役割も果たして行くべきだとは思うが、いかんせんMDPでは明日の試合までしか残せないのだ。今季は特にラスト4試合をどう闘って、どういう結果になったかが重要なのに…。

 それでも、横浜FM戦までの2021シーズンを振り返ったつもりなので、後年の思い出としてもぜひ手元に残してください。

 

(文:清尾 淳)