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Weps うち明け話 #1112

アグレッシブさ(2021年12月3日)

 

「もしかして我々にアグレッシブさが足りないということかもしれません」

 

 最後にリカルド監督はそう付け加えた。今日行われた試合前日記者会見でのこと。

 

 今季のリーグ戦は38試合で、昨季までより4試合多い。

 試合数が多ければ取れる勝点も多くなるが、ほかにも増えるかもしれないものがある。

 警告の数だ。

 にも関わらず、浦和レッズは今季のリーグ戦で出場停止になった選手が1人もいない。警告が26と少ないし、1試合2回の警告もない。もちろん一発退場もない。累積3枚、いわゆる“リーチ”の選手が岩波、山中、明本、柴戸、関根と5人いるが、前節の清水戦で警告を受けていないので、今季の「出場停止なし」が確定した。今まで口にすると誰かが4枚目をツモってしまいそうで、怖くて言えなかった(笑)。

 

 浦和レッズは1993年から昨季までの28シーズン、2000年のJ2を含めてリーグ戦で選手が一度も出場停止にならなかったことはない。今季は極めて珍しいことなのでリカルド監督に質問してみた。

警告を受けないように指導しているのか。ほかに警告が少ない要因があるのか。

 

「特にそういう指導はしていない。リーチの(とは言わなかったが)選手に、気をつけるよう試合前に言うくらいだ。もしかしたら相手のカウンターを悪い形で受けることが少ないからかもしれない」とリカルド監督は答え、冒頭のひと言を付け加えた。

 

 警告を受けるくらい激しくいけ!

 そういうハッパの掛け方もあるだろうし、それくらいの強度は必要だろう。

 だが、激しくいって警告をもらえ、というのではないはずだし、警告の少なさがアグレッシブさが足りないこととイコールではないと思う。もし、そうなら今季のJ1リーグで最もアグレッシブさが足りないのは川崎フロンターレだということになる。川崎の総警告数は18で最少だからだ。もちろん出場停止選手もいなかった。ちなみに横浜F・マリノスは44の警告を受けており退場も1回ある。7人が出場停止になっている。

 

 警告の少なさが、成績にどう関わってくるかはわからない。

 しかし試合中に警告を受けた場合、以降のプレーに思い切りの良さが薄れる可能性はある。調子が悪くなくても交代させられる理由になるかもしれない。また主力選手の出場停止は、監督のプランを狂わせる可能性がある。ないに越したことはない。そういう意味では今季は警告が少なくて良かったと思う。

 

 14年ぶりにアウェイで迎えるリーグ最終節。

 今季のレッズにアグレッシブさが足りないとは思えないが、そういう印象を受けた試合がいくつかあったことは否めない。名古屋戦は、警告を受けるほど、という意味ではなく今季最高のアグレッシブさを見せて欲しい。

 

(文:清尾 淳)