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Weps うち明け話 #1114

56試合目を闘おう(2021年12月7日)

 

 浦和レッズは今季ここまで公式戦54試合を行ってきた。Jリーグ38試合、ルヴァンカップが12試合、天皇杯が4試合だ。

 次の天皇杯準決勝が55試合目で、勝てば56試合目となる決勝に進んでシーズン全ての公式戦を終える。

 

 今季はACLに出場していないから、総試合数はそれほどではないと思っていた。ところがリーグ戦がいつもより4試合多く、ルヴァンカップも準決勝まで進み、天皇杯でも現在4強の位置にいる。今季出られる大会では、今のところルヴァンカップ決勝出場を逃しているだけなのだ。

 

 過去を見ると1シーズンでの試合数が最も多かったのが2017年で、スーパーカップ1試合、Jリーグ34試合、ACL14試合、ルヴァンカップ2試合、天皇杯3試合、スルガ銀行チャンピオンシップ1試合、クラブワールドカップ2試合で計57試合を戦っている。

 全部で7つの大会に出場した2007年が最多ではないかと思っていたが、スーパーカップ、Jリーグ、ACL、Jリーグカップ、A3、天皇杯、クラブワールドカップを合わせて56試合だった。Jリーグカップが準々決勝の2試合、天皇杯が初戦の1試合で終わってしまったのが意外に少なかった要因だ。

 

 55試合が確定している今季は、歴史的に見ても多くの試合を戦ってきたシーズンだということになる。リーグ戦が年間52試合あった1995年が天皇杯3試合(準々決勝敗退)を加えて55試合だったから、順位的に言うと現在「歴代3位タイ」ということになる。

 それだけならどうということもない。ただ今季、新監督の下、新しいサッカーに取り組んでいるレッズとしては、できるだけ多くの試合をこなしてシーズンを終わりたいことは間違いない。幸い、かどうかわからないが、天皇杯決勝は通常より13日早いから、出場しても来季の始動が大幅に遅れることもない。

 

 ということを考えていて、ふと思いついた。

 公式戦の数ではACL出場チームより少ないだろうと思っていたのだけど、今季のACLはグループステージが例年と同じ6試合だが、ノックアウトステージはホーム&アウェイではなく一発勝負だから試合数が少ないのだ。数えてみた。

 今季、スーパーカップから始まった川崎は、次の天皇杯準決勝が54試合目だから最多で55試合。

 同じくスーパーカップに出場したG大阪は、51試合でシーズンを終了。

 ACLで準々決勝まで進んだ名古屋は、レッズとのJリーグ最終節が55試合目で終了。

 ACLラウンド16で敗退したC大阪は、レッズとの天皇杯準決勝が55試合目。

 天皇杯4強の大分は、ルヴァンカップグループステージで敗退しているから次の準決勝が49試合目。

 

 レッズとC大阪のうち、天皇杯準決勝で勝った方が56試合目を戦うことになり、今季のJクラブで最多公式戦出場クラブとなる、

 だからなに?

 ゴルフなどは賞金王という王座があるが、サッカーで最も多い公式戦を行うことが何かのステータスになるのか。Jリーグアウォーズでも聞いたことがないぞ。

 

 一つは、カップ戦で上に進んでいるという証明ではある。

 と同時に、それだけ多くのワンダーランドを提供しているということにならないか。

 すべての試合で勝利したわけではないから、ファン・サポーターがスタジアムから喜んで帰った日ばかりではない。それでも試合日の朝の高揚した気分、スタジアムへ行くとき、あるいはテレビ(パソコンやスマホ)の前で待つときのワクワク感、そして試合中の興奮。それを何度も味わったことは間違いない。

 

 以前にも書いたことがあるが、サッカークラブはリーグ戦の最終節までホームタウンの人々やファン・サポーターに対して楽しみを与え続ける責任があると思っている。

 たとえ「上5チームが全部負けて自分たちが4点差で勝てば優勝できる」という状況であっても、優勝の可能性が残っていれば、最終節までワクワクした気分を味わえるはずだ。

最近は3位以内も目標として挙げられるし、それはそれで良いと思うが、ファン・サポーター以外のホームタウンの人に、どこまでACL出場に誇りや喜びを感じてもらえるかはわからない。

 とにかく今季のレッズはJリーグ最終節まで、順位的な楽しみを残すことはできなかった。あの清水戦が残念でならない。

 

 しかし12月4日でシーズン終了となったチームとは違い、今のレッズは楽しみが継続している。

 公式戦55試合目を全力で闘い、大きな喜びを手にしよう。

 今季日本で最も多い56試合目を迎えるために。

 その後のことは、また。

 

(文:清尾 淳)