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Weps うち明け話 #1117

20年代(2021年12月17日)

 

 

 MDPの編集体制が今季から変わったことで、当然ながら内容も刷新された。

 今季、発行された通常の号はホーム最終節の623号だけで、以前まであったサポーターの投稿ページや、クロスワードパズルがなくなり残念という感想が寄せられた。あとは縦書きベースの右開きが横書き中心の左開きに変わり(戻り、なのだが)違和感があったかもしれない。

 

 チームも毎年それまでいた選手が何人かは必ずいなくなるものだから、切り替わりの時期には寂しい思いをするが、新しいシーズンが始まれば思い出は大事にしながら、新チームに感情移入して共に闘っていく、そういうものだろう。

 MDPも新しい誌面に慣れれば、それはそれで良いものだと思うし、どうしても前の企画が必要だとなれば復活させることもできる。来季は開幕から通常に発行されるように祈っている。

 

 ところで天皇杯決勝MDP特別号が今回も発行される。

 編集会議では、特別号だからクロスワードパズルを臨時で復活させ、応援メッセージのページも作ろうということになった。また従来のMDPではやっていない、ある意味では決勝だからできたページも設けた。それもぜひお楽しみに。

 

 明後日の決勝に関する今の思いはかなりMDPに込めたつもりだが、すべての原稿を書き終えてからでも、なんやかんや言うことは出てくる。

 たとえばパナスタでの準々決勝の応援に関する日本サッカー協会からのけん責処分。

 クラブからまだ発表が出ておらず、協会から出されたけん責理由しか見ていないので、そこについてどうこう言う材料は現在ない。

 ただ最初に思ったのは、なぜ天皇杯決勝を3日後に控えたこのタイミング? ということ。

 それはこう解釈した。

 レッズが優勝してから処分を発表すれば、せっかくのお祝いムードに水を差す形になってしまう。だから今のうちに発表しておこうという配慮だったに違いない。そう思うことにした。最初の受け止めとは正反対だが。

 

 もう一つ。決勝の相手が大分になったこと。

 こちらの準決勝が始まる前にスコアレスで90分を終わっていたから、それもあるなと思ったが、0-0ではなくて大分の同点ゴールがアディショナルタイムに決まった1-1からのPK戦で決まったと知って「ありゃ、これは」と思った。

 今季の川崎はルヴァンカップ準々決勝第2戦で、勝ち抜け寸前に同点とされアウェイゴールの差で敗退が決まった。ホームの等々力だった。

 秒読み態勢だったJリーグ優勝が決まったのは等々力だったが、試合そのものは1-0の勝利寸前で追い付かれドロー。他会場の結果を知らない選手は優勝がお預けになったと思っただろう。実際、横浜FMが勝っていれば、11月3日のホームでの優勝はなかったのだ。決まりはしたがドローで優勝の喜びに若干の水を差されたのではないか。

 そして天皇杯準決勝。これも勝ち抜けを目の前にして追い付かれ、PK戦で敗れた。ここも等々力(「等々力スタジアム」とも呼ぶんですか?→テレビ朝日さん)だった。

 コロナ禍の厳しい環境でJリーグ2連覇という偉業を達成した川崎だが、ホームで喜びを爆発させる機会を何度か奪われたということだ。

 そのうち2回に浦和レッズが関わらせてもらったことは、僕の狭い心の記憶に留めておきたい。

 

 さて、今日公開したYouTube「清尾淳のレッズ話」と少し被ってしまうが、今回の天皇杯決勝について思うこと。それはACLに出場したいという気持ちを、クラブをチームもサポーターも全面に出しているということだ。

 

 2005年の決勝は、正直に言うと、この天皇杯に勝てば翌々年のACLに出られるという意識がなかった。前年のチャンピオンシップに際しては、勝てば年間リーグ優勝で翌年ACLに出ると思っていたのだが、その後タイトルを獲れそうで獲れない状況がずっと続いたので、とにかく優勝したいという思いばかりが先に立った。

 2006年は、もうリーグ優勝もしていたし2007年のACL出場も決まっていたから、これに勝って2008年のACLへという意識はなかったと思う。

 2015年はチャンピオンシップ準決勝で負けたので3位「扱い」になったが、その時点でプレーオフからのACL出場は決まっていた。その後、天皇杯で決勝に進み、しかも相手がJリーグ2位「扱い」のG大阪だったので、勝敗を問わずグループステージからのACL出場が決定した。したがって決勝には、ACLでいうと日本の第2代表か第3代表かの違いが懸かるだけだった。だからタイトルが欲しい、ということしか頭になかった。

 

 2018年の天皇杯は、2年ぶりのACLに出るために、アジアの舞台に戻るために、とみんなが願って、そして獲ったタイトルだった。2013年、2015年、2016年、2017年と出場してきて、出られなかった2018年は非常に寂しかった記憶がある。

 

 そして2年連続出場していない今年は、ACLに対してもっと切望している。

 毎年のように出ていたから出たいのか、出たことがないから出たいのか。そこは選手によって違うだろうが、少なくともクラブを挙げてACL出場ということを押し出してきたのだし、サポーターに関してはACLに飢えていると言ってもいいだろう。2018年を上回る気持ちで欲している、という気がする。

 

 時代のことを「70年代」とか「80年代」という言い方をする。

 それで言うと、20年代は浦和レッズの時代にしたい。少し遅れたが2021年12月19日、天皇杯の優勝がその幕開けになることを。

 

(文:清尾 淳)