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Weps うち明け話 #1121
今季、待ち受けているもの(2022年1月4日)
明けましておめでとうございます。
お目よごしですが、今年も書かせていただきます。
昨年、天皇杯優勝の余韻が(人によっては酔いが)まだ残っている12月26日から、選手の新加入情報や他への移籍情報がどんどん正式発表されてきた。
浦和レッズを去る選手に関しては、噂に聞いていた選手もいれば、寝耳に水だった選手もいる。「出」は予想以上だと言える。
一方の「入」、つまり新加入選手に関しては、予想どおりだ。
予想どおりと言っても、どんな選手が来るのか事前に知っていたわけではない。誰もが名前を知っている「大物」がいないことが予想どおり、ということだ。
昨年のこの時期、エヴェルトンや長澤、青木といったレギュラーがチームを離れる一方、入って来る選手の中で、J1でタイトルを獲った実績のある選手は西大伍だけだった。正直、心の中では「大丈夫か、これで」と思っていた。
しかし、始まってみればJ1で初めてプレーする選手たちの活躍が目を引いたし、チームも引っ張ってくれた。そしてキャスパーを含め、シーズン途中で加入した選手たちが、チームをさらに押し上げた。
それを考えれば、チームの補強について今の時点で何か言うのは早すぎる。
ただし、今年と去年では大きな違いがある。
まず、今年は物差しの目盛りが大きいということだ。去年は1センチだと受け止められていた長さが、今年は同じ長さでも1センチに足りなく感じられそうだ。
変な言い方だな。
つまり今季は見る目が厳しくなるということだ。それも二つの面から。
一つはリカルド監督体制2年目だということ。昨季は新しいサッカーに取り組んでいたのだから、とシーズン序盤の成績にも我慢ができた。そして4月にリーグ戦3連勝してからは白星基調になり、特にホームではリーグ12勝4分け3敗と、まずまずの成績だった。ホームで12勝は、横浜F・マリノスに次ぐ勝利の数だ。
今季はスタートラインがそこだと思われてしまいがちだ。昨季年間を通してできるようになったことが、今季は開幕からできて当然だし、序盤から白星基調が期待されている。その期待と実際の結果にギャップが生まれたとき、チームとサポーターがどう踏ん張るか。
もう一つは、クラブ自身が掲げている3年計画最終年、つまり今季の目標がリーグ優勝だということだ。
34試合の結果だから、序盤の勝敗であれこれ言うのは早いが、あまり首位から離されると、後がつらくなる。2007年に鹿島が残り5試合で10ポイントあった勝点差をひっくり返したのは、首位チームが5試合で3ポイントしか取れなかったからであって、それを最初から計算に入れてはいけない。
昨季は首位からの勝点差も気にはしたが、じっくり見たのは3位との差だった。もしくは17位との差を見た時期があったかもしれない。今季、開幕から最終節までずっと首位でいる必要はないにしても、首位グループから大きく離されず、最終節で首位にいること。シーズンを通して、そういう見方がされるだろう。
もう一つの大きな去年との違い。それはACLだ。
浦和レッズにとって、それは戻るべき戦いの場所だ。しかし選手個々を見れば、ACLを経験しているレッズの日本人選手は、1月4日現在で25人(新人を含む)中7人だけなのだ。2019年の2年ぶり7回目の出場と今年の3年ぶり8回目の出場は全く状況が異なる。
ACLでの戦いは、必ずチームにとってプラスになるが、すぐに良い影響が表われるとは限らない。4月の後半にセントラル方式で、しかも中2日の日程で行われるらしいグループステージ6試合を終えて、ACL初体験の選手たちとチームにどういう変化が起こるか、想像がつかない。
チームの出来を測る物差しの目盛りが変わり、未体験の選手が約4分の3というACLを控えている。
2022シーズン、浦和レッズを待ち受けているものにどう取り組み、どう攻略していくのか。
厳しい言い方をしてきたが、やはり今は楽しみしかない。
(文:清尾 淳)