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Weps うち明け話 #1125

強くなった空腹感(2022年2月14日)

 

 2月12日(土)に行われた富士フイルムスーパーカップ。浦和レッズは球際の部分、特に負けてはいけない場面で高い集中力と強い執着心を持って、選手たちは立ち向かっていた。自陣ゴール前で、川崎のボールホルダーへのプレスが、1人かわされてもすかさず2人目、3人目がボールに向かって行った。またクリアしたレッズの選手が痛む場面が何度かあったのもギリギリのところへ飛び込み身体を張って守っていたからだ。

 

 試合後の囲み取材で江坂任にそのことを質問すると「球際では強くいけていたし、そこで奪ってカウンターというところも多く出せていたので、そこはレベルアップというか、チームとして良くなった部分だと思う」と答えてくれた。

 これまでなら負けていたような局面で負けなかったこと、そしてそういうプレーが最後まで続けられたことが勝因の大きな部分だし、それをどの試合でも発揮していければ、間違いなく今季の強みになる。

 

 川崎がボールを握る時間が長かったのは間違いないし、簡単にパスを回されるシーンは少なくなかった。それについてはリカルド監督も「ボールを握りながらやっていくことにチャレンジしていきたかったが、なかなかそうできず、相手にかなり深くまで進入されてしまったところがあった」と語っている。そこから失点はしなかったが、マイボールの時間を長くするというのがチームコンセプトなのだから、その点では成功していない。昨季も、勝敗は別にして相手にポゼッションで上回られる試合があった。

 チームが目指しているものに到達していないのだから、改善しないといけない。

 

 しかし何よりレッズが大事にしていくべき「戦う気持ち」はもちろん、実際に「戦うプレー」を全員から見ることができた。あれくらいの強度で当たっても流すというのが今季のジャッジの基準なら、レッズにとって望むところだろう。GKと1対1になりそうな相手を引っ張ってチャンスをつぶすのもOKというのは、いかがなものかと思うが。

 

 試合後の囲み取材で酒井宏樹は「リーグ戦ではないので切り離して考えないといけない」というニュアンスで、引き締めていた。ある意味では、これが副キャプテンとしての大事な仕事なのかもしれない。

 一発勝負だから、タイトル戦だから、川崎が相手だから、ではなく、今週末からのJリーグでこの日と同じ、いやこの日以上の戦いを見せて欲しい。

 

 今季はクラブもリカルド監督も「ハングリーさ」を強調している。

 レッズは16年間、Jリーグのタイトルに飢えてきた。身をもってそれを知っているのは多くのレッズサポーターだろう。だが選手はプロであるならば常にタイトルに飢えていなければならないし、無冠に終わって一番悔しい思いをするのも選手のはず。明るい雰囲気で知られるチームではあるが、試合では飢えた獣が獲物を相手にしているような面もあって欲しい。

 ペコペコのお腹に、少しだけ食べ物を入れるとかえって空腹感が増すものだ。FFSCを獲ったことで、リーグタイトルを求める気持ちがより大きくなった気がする。

 

(文:清尾 淳)