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Weps うち明け話 #1130

完全試合と言えば(2022年4月12日)

 

 4月10日、ロッテの佐々木朗希投手が完全試合を達成したことは、スポーツニュースにとどまらず大きな話題だった。

 野球ファンとは言えない僕でさえ、完全試合がどれほど凄いものかはわかるつもりだ。

 

 で、もしかしたら野球ファンでも、年齢によっては知らない人がいるかもしれない事実を、僕は知っている。いや「僕たちは知っていた」と言った方がいいだろう。

 プロ野球の完全試合が28年ぶりというのはニュースでも知らされたが、その28年前の完全試合は、誰がいつどこで達成したか、ニュースを見ていた僕は叫んだ。

 

 5月18日、槙原寛己、福岡ドーム!

 

 クイズ番組じゃないんだし、誰も聞いていないんだから叫ぶことはなかったが、つい。

 

 これは忘れない。

 いや、槙原さんの完全試合はリスペクトするが、それがすごくうれしかったわけではなく、その日は浦和レッズにとって、完全試合とは言わないまでも、ピッチャーの初完投勝利くらい、喜ばしいことがあったからだ。

 

 1994年5月18日、浦和レッズは国立競技場に横浜フリューゲルスを迎え Jリーグ1stステージ(サントリーシリーズ)第17節を行った。

 前年のJリーグスタート以来、レッズはそれまで横浜Fに勝ったことがなく、公式戦7連敗中だった(Jリーグ5、ナビスコカップ1、天皇杯1)。Jリーグオリジナル10の中で唯一白星を挙げていない相手が横浜Fだった。

 

 その“仇敵”に勝った。しかも3-0という完璧なスコアで。さらに前節に続く連勝だった。場所は国立競技場で、水曜日にも関わらず4万8千人以上が見守った。

 どうだろう。新人投手がプロ入り後、初完投勝利したのと同じくらいの喜びではないだろうか。

 

 僕だけではなく、多くのレッズサポーターはその夜のスポーツニュースと翌朝のスポーツ新聞が楽しみだった。

 競馬の「ハルウララ」ほどではないにしろ、Jリーグでそれまで52試合(93年:36試合、94年:16試合)戦って、11試合しか勝っていないチームが、大差で勝ったのだ。メディアの扱いに期待を持ってもいいだろう。

 だが…。

 

「槙原寛己完全試合」!

 当然ながら、すべてのスポーツメディアは、これをトップニュースにし、時間と誌面を割いた。レッズの勝利はサッカー関連の中では大きかったが、完全試合の陰に隠れた。1紙だけ、裏1面にしてくれたような記憶があるが、定かでない。

 

 ということで、今回語ったことはすべてセットになって僕の記憶にしまわれているから、どれか一つを引き出すと、他のものも一緒に浮かび上がってくるのだ。槙原さんが完全試合を達成した相手は覚えていない(広島のようです)。

 

EXTRA

 こういう「この日、何の日」的なプロジェクトを、ウェブサービス「note」で展開しています。

 タイトルは「あの日のわたしたち ~浦和レッズ30年~」

 3月1日から毎日、浦和レッズ30年の歴史の中で僕が印象的だった日を挙げて、事実と感想を綴っています。そして、ほかの方もいろいろな角度からその日について思い出を投稿してくれています。noteのアカウントを取得すれば、どなたでも投稿できますので、あなたもぜひどうぞ。

 一度、noteをのぞいてみてください。

 https://note.com/saywhoand/m/md6ec5ff31d9e

 5月18日が来たら、この横浜F戦のことをもっと詳しく書くつもりです。

 

(文:清尾 淳)