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Weps うち明け話 #1132

両手に持つものがそろった(2022年5月20日)

 

 右手に少年キング、左手に少年画報。

 

 僕が子どものころに聞いたような気がする漫画雑誌のキャッチコピーだと思うが、少し違うかもしれない。

 

 少年キングは週刊誌、少年画報は月刊誌。いずれも少年画報社が発行していたもので、僕はなぜか少年画報を毎月買ってもらっていた。自分のまちには本屋がなかったので、遠くの本屋が毎月配達してくれた。少年キングは、ほとんど読んだことがなかったが、望月三起也さんの「秘密探偵JA」と「ワイルド7」は大好きだったので、コミックになってから買ってもらったような気がする。少なくとも「ワイルド7」は大学生になってから全巻そろえた。

 

 同じ出版社から出ている週刊誌と月刊誌を両方の手に持って、どっちも読んで(買って)ください、というアピールなのだが、右手と左手が逆かもしれないし、もしかすると「右手に少年マガジン、左手にぼくら」だったかもしれない。

 とにかく、週刊誌と月刊誌どっちもよろしく、というこのキャッチコピーは気に入って、覚えている。

 

 右手にハンドブック、左手にMDP。

 

 この30年近く、ずっとそうやってきた。

 レッズの仕事をするのに、オフィシャルハンドブックは欠かせなかった。初期のころはレッズに関する情報が少なかったので、本当に穴が開くほど読んだ。

 

 ハンドブックはシーズン開幕時の情報がぎっしり。MDPはシーズン途中の、その時点での情報が満載。この2冊を読んでいれば、レッズがわかる。

 そんなつもりでMDPを作ってきたし、ハンドブックを読んできた。途中から、ハンドブックの巻頭に載せる「ホームタウン」のページを企画から任された。その取材でお世話になった人も、これを読んでくれている人の中に少なからずいる。ありがとうございました。

 

 それがない2年と数か月だった。

 2020年は開幕号と最終節だけMDPが出たが、途中はなし。2021年はそれに平川忠亮引退試合特別号と天皇杯決勝特別号が加わったが、やはり途中の試合では発行されず、すべてウェブによる配信だった。

 ハンドブックは2021年版まであった。その年の「ホームタウン」は「街路灯バナーの歴史」だった。

 今年から、そのハンドブックも発行されなくなった。

 

 明日の鹿島アントラーズ戦でMDPが発行される。開幕や最終節以外での発行は2019年以来だ。鹿島戦だから特別ではなく、鹿島戦以降のホームゲームでずっと発行される。ウェブ版ではコンテンツが絞られていたが、毎号なにかの特集もある。僕は、以前のように全てのページに直接関わるわけではないが、やはり製作自体が楽しかった。

 

 通常のMDPが久しぶりに発行されるのと時を同じくして、明日から発売される刊行物がある。

 浦和レッズガイドブック2022。

 ハンドブックがない物足りなさと不便さが高じて、とうとう作ってしまった。発行は清風庵。聞いたことがないかもしれないが、僕の会社だ。

 

ガイドブック

 遊び心も発揮し、外見はオフィシャルハンドブックの1992年版に寄せて作った。内容はハンドブックと比べようもないが、僕自身「こういう情報がパッパッと得られたらいいな」と思うものを載せている。

 試合日程、レッズの30年概括、選手名鑑、スタッフ一覧、埼スタと駒場やチケット情報などレッズ周りのことを一通り、オフィシャル発信物、アカデミー、レディース部門、後援会などを全64ページにまとめた。製作にあたってはもちろんレッズの協力を得た。

 

 販売についてもレッズに全面協力を得る。明日以降のスタジアム内売店とレッドボルテージが基本だ。価格は税込み660円。シーズン途中からの発行で本当に申し訳ないが、ぜひ手元に1冊置いて欲しい。

 

 右手のハンドブックと左手のMDP。車で言えば両輪が駆動していく、そんな感覚をいま味わっている。

 そして明日からレッズも「11輪駆動」で、悪路をものともせず、突っ走って欲しい。

 

(文:清尾 淳)