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Weps うち明け話 #1135

5試合(2022年7月11日)

 

 7月10日のFC東京戦。試合を決定づけるような3点目が入ったのは後半の25分。時間帯よりも、ゴールまでの形が相手の疲労感を大きくしたかもしれない。

 

 馬渡は左スローインを少し長めに入れた。江坂が胸でワントラップして、すかさず右のモーベルグへ。モーベルグが追い付き、相手DFと1対1になる。誰もが4日前の京都戦で挙げたスーパーゴールを思い出す。シュートか、と見た瞬間、モーベルグがヒールパス。

 

 え!

 

 誰に送られたか見定める間もなく、そこから中へ折り返され、大久保が左足で合わせてゴールゲット。ドルナー看板を越えてゴール裏のサポーターの前に行く大久保。それに続いたのが敦樹だったので、ラストパスは敦樹かと思ったら、オーロラビジョンのスローでは江坂だった。

 江坂が右にロングパスを送った地点は左寄りだった。そこから長い距離を走ってモーベルグの外側を回ったのか。ヒールパスが来る確信はあったのだろうか。

 

「前節も2人でヒールパスを使って、やろうとした場面がありましたが、うまく合いませんでした。今回は相手をうまく引き付けてくれて、良いヒールパスをくれました。前節、通らなかったのが今回に生きたかな、と思います」

 と江坂。試合後の取材で応えてくれた。

 かなりの距離を走ったことになるが、

「みんな疲れている時間帯に入ってフレッシュな状態だったので、ランニングできたり、ランニングしてくれる選手がいたりして、やりやすさはありました」と、途中出場の利点を披露する。

 

 大久保は、ただ今売り出し中のドリブラーだが、今季ゴールに絡むことはあっても、直接の結果として見えたのは横浜FM戦で、ユンカーが決めた3点目のアシストだけだ。

「トモ(大久保)は良いプレーをしていたので、結果が欲しかったと思うし、そこにアシストできて良かったですし、トモがゴールをしたのはチームにとっても良いことです。また試合を終わらせるゴールになったということも、良かったです」

 レッズ歴は半年ばかり大久保の方が長いが、Jリーガーとしては大先輩の江坂がお膳立てしてくれた場面で、東京にとどめを差すゴールを挙げた。夕べは寝られなかったのではないか。

 そう言えば、あのゴールの形は、横浜FM戦の3点目に似ていないか。

 

 試合後、記者の取材が終わり、引き上げようとする大久保を「一つだけ聞かせて」と呼び止めた。試合の後、フラッシュインタビューがあるとチームより遅れて場内を一周する。埼スタで初めてそれを体験した感想を聞きたかったのだ。

「メチャクチャ気持ちいいですね。埼スタでゴールを決めるのは初めてでしたけど、すごいですね」

 よしよし。クセになってくれよ。 

「また決められるよう頑張ります」

 

 江坂の話に戻る。京都戦の後、彼は「東京に勝てば5試合負けなしで3勝2分けです。それは悪くない」と語っていた。この東京戦の後は、

「あと1勝すればまた順位も上がるでしょうし、そこから中断に入ります。そうすれば中断明けの戦い方も変わってくると思うので、次の清水戦にしっかり勝って中断に入りたいです」

 

 5試合で勝ち点11は、1試合平均では、横浜FMの21試合で勝ち点44を少し上回る。

 一番良いときの5試合を切り取って比べても意味がない?

 たしかにそうだけど、これは直近5試合であって、良いところだけを切り取ったわけじゃない。現在のレッズがその状態にあるのは事実だ。

 清水にはホームで悔しいドローだった。あのとき失った勝ち点2は取り戻せないが、今週の土曜日勝ち点3を取ることで、そこからの練習にさらに熱が入ることだろう。そしてまた変化を見せてくれる。

 

 この5試合をこの時期だけの特別なものにしないで、次の5試合、その次の5試合に続けていくために、清水戦は極めて重要な一戦になる。

 

(文:清尾 淳)