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Weps うち明け話 #1144

声出し応援で気づいたこと2つ(2022年8月26日)

 

 きのう8月25日(木)、AFCチャンピオンズリーグ準決勝の延長後半11分。全北現代モータースのショートCKから勝ち越し点を奪われた。

 そのとき、ずっと続いていた「プライドオブ浦和」のチャントが全く途切れなかった。

 ゴール裏のサポーターに一番近い場所にいた西川周作にそのことについて質問した。

 

「そうでしたね。僕もそれは感じてました。

 あそこでシーンとなると、嫌な雰囲気になるんです。声を出し続けてくれることによって、自分たちも『大丈夫、やろうよ』という雰囲気になれました」

 

 今季、4度目となる、応援の声出し可能な試合。8月10日のルヴァンカップ準々決勝第2戦から、何度も「レッズの応援が戻ってきたな」という場面に出会ってきた。僕が初めて出会うチャントもあった。

 思えば、それらの中で一番「これだ、これ。これがレッズだ!」と思ったのが、この失点のときの途切れなかった応援だ。

 

 1993年、Jリーグが始まったときにも一番驚いたのが、失点したときにすぐ発せられる「浦和レッズコール」だった。

 応援していて目の前で失点すれば、ため息の一つも出て不思議はない。当時、レッズの応援のリードをとっていた吉沢康一さんは、選手と同じくらい悔しい思いをしていたはずだ。しかし、選手に下を向かせるヒマさえ与えず起こる「浦和レッズコール」を聞いて、「すげえ」と思ったのは今でも鮮明に覚えている。

 

 25日、「プライドオブ浦和」が途切れなかったのも、その伝統を受け継いだものだと思う。

 先制したが追い付かれて延長。チャンスはレッズの方があったが、決められず延長後半11分という瀬戸際の一歩手前でまさかの失点。もちろん、それで選手たちが諦めるはずはないが、それでも完全に立ち直るまでの時間が大きく短縮されるはずだ。

 延長後半15分のキャスパーの同点ゴール。その起点になった酒井宏樹のボール奪取や右クロス。相手GKが弾くしかなかった明本のヘディングシュート。それを呼び込んだ背景の一つが、1-2になったときのあの応援だと僕は思う。

 

 それを西川がしっかり感じ取っていたのはさすがだ。

 

 もう一つ。埼スタでの声出し応援で、少し悔しい思いをしている人たちもいるのではないか。負けた相手ではない。それは少し悔しいぐらいでは済まないだろう。

 メーンやバックの人たちは、いつもゴール裏の応援に同調しているわけではない。それでも、ここが攻めどき、あるいは守りどき、という場面では声を出して応援する。大事な試合ではそういうときが多くなる。そういうときの音量、熱量はすごいものになる。

 

 全北戦の後半38分ごろ。レッズが攻勢を取り、全北が時間を使う、という展開の中、ゴール裏からは「赤き血のイレブン」が歌われていた。延長に行く前に勝ち越し点が欲しい、あと少しで取れそうだ。そういう時間帯に、歌に合わせる手拍子がだんだん大きくなっていった。ものすごく大きい、と言ってもいいような迫力の手拍子だった。メーンやバックの人たちが、自分たちにできるのはこれ、という思いで手をたたいていたのだろう。

 

 10日のルヴァンカップ準々決勝第2戦で久しぶりに声を出して、翌日喉が痛かったサポーターが多かったという。しかし、19日のラウンド16や22日の準々決勝の翌日は、慣れたというか元に戻ったというか、あまりそういう話は聞こえて来ない。

 しかし、全北戦は延長だったし、前の2試合より力が入ったこともあって、また少し痛いという人がいるようだ。

 メーン、バックにいた人の手のひらが赤くなっていないか、見てみたい。

 

 お疲れさまでした。

 リーグ戦、ルヴァンカップ、そして来年の決勝。頑張りましょう。

 

(文:清尾 淳)