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Weps うち明け話 #1148

今季の見どころはここだ!(2022年10月18日)

 

 WEリーグの2シーズン目が今週末に始まる。

 三菱重工浦和レッズレディースは、今年2月に決勝が行われた皇后杯全日本女子サッカー選手権で優勝。2022/23シーズンのプレ大会として新設されたWEリーグカップも10月1日に優勝を果たした。

 2つのカップ戦は制したが、昨季のリーグ戦では優勝のINAC神戸レオネッサに勝ち点8差をつけられた2位に終わっている。

 優勝を逃したのは仕方がないにしても、20試合しかないリーグで、8ポイント差は大きいと思う。優勝がすでに決まったI神戸との終盤の戦いでは1-0で勝ったものの、優勝争いでリーグを盛り上げたとは言い難かった。

 

 22-23シーズン開幕を前にして、先週、レッズレディースの楠瀬直木監督と柴田華絵キャプテンが出席して、オンライン記者会見が行われた。その一部を紹介する。

 

 

 

【優勝したWEリーグカップはグループステージの5試合と決勝で、ほとんどの選手が最低1回は出場して、練習などでも競争が以前より激しくなっていると聞いたが、選手としてその実感はどうか】

<柴田華絵>

「まず試合に出たということが、どの選手も自信につながっていますし、そういった部分が練習でも発揮されているかなと思っていて、紅白戦とかをする中でも、それぞれの選手が自分の良いところを出せるような場面が増えていると思っています。

 本当に、どの選手が出ても戦えるようなチームに、少しずつなっているのかなと思います」

 

【レッズレディースは、長く同じメンバーでやっていることが、連係などが非常にスムーズになっている要因だと思う。そこに新しい選手が入ってくることで、スムーズな連係を維持することとのバランスはどうなるだろうか】

<柴田華絵>

「もちろん、いつも出ていたメンバーでやるのがスムーズに行くとは思うんですけど、その中で1人2人違う選手が入ってきた時に、その選手の良いところであったりとか、そういうのを引き出すというところも、私たちがやるべきだと思っているので、難しいこともありますけど、チームとして戦っているので、やっていけるように心がけています」

<楠瀬監督>

「もちろん、固定されたメンバーでの良さもあるんですけど、我々はさらに強くならなければいけないですし、昨季4敗してしまったのですが、決して負ける相手ではない試合を落としたこともありますので、一つも落とせないんだ、という緊張感をチームには植え付けたいと思っています。

 そして、登録しているメンバーは20数名ですけど、やはり人材を無駄にしたくないというのがあります。小さい頃からレッズで育って、トップチームに上がった選手たちは、何かがあったからトップに上がれたのですから、それを発揮してもらいたいのです。

 ある程度、固定されたところに割って入って先発を勝ち取って、レッズの一員となる、と思いますので、やはりそういうところに選手が出てきて欲しいです。

 不慮の事故とか怪我などもありますし、そういう時にも備えた体制にしたいというのも大きな理由の一つです」

 

 

 2020年、なでしこリーグ優勝を果たした浦和レッズレディースを見ていて、弱点があるとしたら控えメンバーかな、と思っていた。森栄次監督が就任した2019年、チームは素晴らしい連動性と攻撃性を持ったチームに変貌した。毎試合、彼女たちのプレーを見るのが楽しみだった。個人の能力を組織的な戦術で生かすというのはこういうことか、と思った。

 ただ相手が走るチームのとき、後半になってレッズレディースが相対的に落ちてくる試合もあった。そういうときにメンバーを交代しても、それまでと変わらない連係ができていれば、2019年もリーグ優勝していただろう。まずは固定されたメンバーで連動性を高めチームの最高到達点を引き上げることに成功したが、選手を替えてもその到達点が落ちないようになれば最強のチームになるに違いない、と思っていた。

 

 2020年は優勝したが、それは先発出場の選手たちのレベルアップが大きな要因であり、控え選手の向上という課題が大きく改善されてのものではないと僕は受け止めた。それが残念ながら21-22WEリーグでの2位という結果に表れてしまったのではないか。

 

 その改善を図りながら試合にも勝っていく、という難しいミッションに挑戦する意気込みを楠瀬監督と柴田から聞くことができた。今季は楽しみが増えたことになる。

 選手を育てるのは監督、コーチ、チームメート。そして試合ではファン・サポーターの存在だ。

 10月23日(日)の開幕戦は、埼スタでの開催。さらに強く、さらに面白い試合のレッズレディースを作っていくために、多くのレッズサポーターに、応援してもらいたいものだ。

 お願いします。

 

(文:清尾 淳)