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Weps うち明け話 #1159

キャンプ中の変化(2023年1月24日)

 

 沖縄キャンプには、1月14日から29日の最終日まで16日間いる予定だ。

 1日2回の練習だが、たまにオフや室内(非公開)になることがあるので、練習あるいは練習試合に立ち会うのは25~26回になるだろうか。そのたびに2人の選手から話を聞くとすると、全部で50回。平均して1人あたり2回ぐらい話を聞ける計算になるということで、それを目標にしていた。

 実際、昨日で10日間いたことになるが、聞いたコメントの総数はその目標をクリアしている。短いものもあるが。

 

 今回は、伊藤敦樹、馬渡和彰、松崎快のコメントを紹介する。少し前のものだが、3人とも僕がキャンプに来て初めて話を聞いたときのものだ。

 

 まず加入3年目の伊藤敦樹

 新人時代からリカルド前監督に起用され、出場実績を伸ばしてきた。新人の自分を使ってくれた監督が退任して新しい監督になったことは、もしかして敦樹にとってあまり歓迎すべきことではないのではないか、という思いがあった。

「まあ、また一からのポジション争いになると思います。その競争には勝っていきたいな、と。新鮮な感じはしています」

 

 ダブルボランチの場合、一人がアンカー的な存在で一人が攻撃の起点、のような分担になることが多いが、スコルジャ監督は攻撃に積極的に絡んでいくボランチを2枚置きたいようだ。ボランチが前に出ていく動きを求められるようだが。

「本当に、より自分の持ち味が出しやすいと思っています。求められてるものに近い動きができるのが、自分の強みだと思っていたので、そこに関しては、良さを出していきやすいのかなと思います」

 

 たしかに敦樹はもともと攻撃的なセンスが良く、機を見て前に出ていくことが多かったし、それで結果も出してきた。しかし、少し意地悪な見方をすると、去年のよく敦樹が見せていた動きを他のボランチも求められるということは、逆に言うと敦樹の良さが目立たなくなるかもしれない。

「(苦笑)みんなその動きを求められて、自分の持ち味だったことをみんなもやり出しているので、それ以上に自分がそこでの違いを見せていかないと、ポジション争いには勝てないと思います。今まで通りだったらダメだと思いますが、そこに関しては自分も強みを持っているので、よりゴールに関わるプレーを増やしていければいいのかな、と思ってます」

 

 危機感というよりは、それをモチベーションに変えているようだ。チームはこの2シーズン、リーグ戦で優勝に絡んでいけなかったが、その部分で手ごたえは感じているか。

「まだ始まって1週間ちょっとしか経ってないですし、まだわからないですけど、非常に楽しみでもありますし、やっぱりそこ(リーグ優勝)は狙っていかないといけないところでもあります。リーグ戦で良いスタートが切れるかどうかは、ほんとにこのキャンプでどれだけ良い準備ができるかにかかってくると思うので、このキャンプを大事にしていきたいです」

 

 

 次にレッズ加入2年目の馬渡和彰

 馬渡にとってレッズは8番目のクラブで、プロ1年目のガイナーレ鳥取には2年間在籍したが、その後はどのクラブも1年で移籍してきた。馬渡の在籍クラブを順番にすべて答えよ、というのはクイズになりそうなくらい多い。その経緯については以前から聞いてみたかったが、それはともかく、昨年と違う自分というのをどう感じているだろうか。

「同じチームで2年目というのが久しぶりなので、今までは新加入という立場でやらしてもらっていて、けっこう気を遣ったりとか、自分ではわからないところで、緊張感みたいなストレスみたいなのは多分感じてたんだなっていうのは今年、実感しました。2年目で、周りとのコミュニケーションとか、メンタル的に楽をできているので、あ、今までこういう負担ってやっぱあったんだなっていうのは感じました。自分の特徴もわかってもらえていますし、自分も周りの選手の特徴をかなり把握できてるので、そういう意味ではやりやすいです」

 

 今季はプレー強度の高さが求められる中で、馬渡のプレーはプレスのスピードやデュエルの部分などひときわ高さが見られるように僕は思った。本人はどう感じているのだろうか。

「今季(1月6日に)始動してからけっこうな日数が経っていますが(13日目)まだオフがなくて疲労感もありながら、練習では強度は高いですけど、ある程度効率良く、やるところはしっかり強度を出しています。年齢も重ねてきてキャリアももう10年目になるので、自分の体をどうコントロールしていくか、というところはある程度わかってきているので」

 

 たしかに馬渡だけをずっと見ているわけではなく、ボールを持ったとき、あるいはプレスに行ったときに目がいくので、そのときはいつも強度高くプレーしているな、という印象を抱いてしまうのかもしれない。

「強度高く見えているのは良いことですね。自分の中では、しっかりやるところは強度を出すということでやっているので、第三者の方から強度高く見えてるっていうのは、すごく良いことだとは思うので、あとはゲームでしっかりプレーとして見せて、アピールしていければいいと思います」

 

 スコルジャ監督の練習の特徴についてはどう感じているだろうか。

「始動してから、まずは守備からトレーニングを積んでいて、こういう状況の時はこういう守備、というのを簡潔にやってくれているので、あとはゲーム形式になったときには、状況が違ってくるので、その時、その時で、状況に応じて自分が臨機応変に周りの選手とコミュニケーションを取りながら、自分の役割を全うしていきたいなと思っています」

 

 サイドバックが最終ラインから一気に前線に出ていくシーンが多くなりそうだ。

「攻撃のところでは、サイドバックがインサイドに入ってプレーすることが求められるので、そこは他のサイドバックの選手より自分はうまくできるんじゃないかっていう自信もあります。ただ、守備の強度のところとかは自分の課題でもあると思うので、そういうところに目を向けながらやろうっていう意識で、このキャンプに臨んでいます」

 

 

 最後は松崎快。

 松崎は昨季、リーグのホームゲーム初戦(神戸戦)で、チーム初ゴールを挙げた。しかし、その後公式戦で惜しい場面は作っていても、得点はなかった。加入2年目だが、昨季との違いはなんだろうか。

「昨季は、入った年というのもあって、どっか無意識に遠慮してる部分とかはあったと思います。今季は、そういう部分はあんまりないのかな」

 

 松崎も、強度の高いプレーを練習で見ることが多い。

「強度の部分は去年1年間一番こだわってた部分ではあるので、その部分を出せている状況ではないかと。現代サッカーではやっぱそこは求められる部分なので、スコルジャ監督に限らず、どの監督でも求めるものかな、と思います」

 

 自分にとって、スコルジャ監督のサッカーをどう感じているだろうか。

「守備の部分でやろうとしてることはかなり明確に提示してくれてるので、自分にとしてはやりやすいですし、自分がやりたいような守備なので、自分にとってはプラスかなと思います」

 

 松崎は大原でも練習後のクールダウンの時間をしっかり取るが、それは沖縄でも変わらない。やはりケガなく過ごすことを意識しているのだろうか。

「一種のルーティンというか、自分にとって必要だと思っているのでやっています。たしかにケガは一番気を付けてはいますけど、だからといって、プレーに制限をかけるようなことにはならないです。練習をいかにやれるかっていうのが自分にとっては大事な基準になるので、そこは徹底して全部決めてやってます」

 

 1月6日の始動から、良い動きと強度の高いプレーを見せていた。今季の前の長いオフでかなり準備をしたのではないかと思われるが。

「基本的に、自分の中でやっぱり走力という部分が足りないっていうのはずっとわかってたことで、長いオフというのは良い時間だなと思ってたので、走るっていう部分は結構やってたかな。通常は2週間ぐらいガッツリ休むんですけど、昨季ずっと試合に出ていたわけではないので、最小限のオフにして、なるべく自分の能力を上げるための時間みたいな感じで使ってきました」

 

 

 以上のコメントは、いずれもキャンプでの比較的初期のものだ。大事なのは、これがキャンプ中にどう変わっていくか。そのチェックポイントになるのは、4回予定されている練習試合だ。

練習試合はいわば、実力テスト。練習でやっていること、キャンプで自分が力を入れていることが、どこまで表現できるかという確認ができる。外から見たものと本人が感じるものとはズレもあるだろう。特に僕は、この時期なんでもポジティブに感じがちだし(笑)。

21日の、沖縄国際大学との練習試合を経たものを、YouTube「清尾淳のレッズ話~沖縄リポート・その5」で紹介する予定だ。

できれば上記のコメントと合わせて見て欲しい。

 

(文:清尾 淳)