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Weps うち明け話 #1176

数だけではいけないが(2023年9月14日)

 

 今年もYBCルヴァンカップは準々決勝を勝ち抜いた。

 2002年のヤマザキナビスコカップが初で、03年、04年、05年、11年、13年、16年、21年、22年、23年…、あら10回目だ!

 

 Jリーグカップ準決勝通算10回進出記念!

 

 いやいや、それで何かを書こうというわけではない。だって今回の原稿を書き始めて、10回目だって知ったんだから。

 でもテーマはやはりルヴァン4強決定がきっかけだ。

 

 これでルヴァンカップ準決勝2試合が決まったので、今季の残り試合がだいぶ確定してきた。

 リーグ戦8試合、ルヴァン2試合(勝てば+1試合)、ACL6試合、FIFAクラブワールドカップ1試合(勝てば+2試合)で、最少で17試合、最多で20試合というわけだ。

 ちなみに9月10日現在で、40試合を消化しているから今季のレッズは57試合~60試合の公式戦を行うことになる。

 

 明日9月15日(金)のJリーグ京都戦から、12月22日(金)のFCWC決勝まで、足かけ15週で20試合の海外6試合を含めた公式戦に挑戦するのだから、簡単ではない。シーズンが始まった2月から5月の話ではなく、すでに40試合を戦ってきて通常なら第4コーナーを回るころなのだ。

 中学生のころ、部活で「足上げ腹筋」を全員でやっているとき、残り1分というときになって上級生が「あと3分」と号令をかける、あの日を思い出した。

 

 そのこと(自分の部活の話ではなく)をマチェイ監督に言うと「でも、それは我々自身が望んだことです」という答えが返ってくる。

 そう。天皇杯とルヴァンカップのベスト4にも入っておらず、23/24ACLにも出場しないJ1の12チームは、あとJリーグの8試合のみでシーズン終了となる。それはごめんだ。年間試合数だけでクラブの価値が決まるわけではないが、試合数が多いというのは、イコール多くのタイトルに挑戦しているということになる。

 だから、天皇杯の準決勝が行われる10月8日と決勝の12月9日には、僕は少し寂しい思いをしているはずだ。

 

 Jリーグの残り8試合だけに集中できる神戸は、現在の位置も今後の条件でも優勝に一番近いところに居る、という言い方ができるが、うらやましくはない。だって神戸にはJリーグ優勝「しか」残っていないけど、レッズにはJリーグシャーレもルヴァンのカップも、あまり見たことのない世界一のカップも獲れる可能性があるからだ。多少の強がりは入っているが事実だ。

 

 何のタイトルの可能性もないシーズン終盤を過ごすほど残念なことはないんです。今シーズンは複数のタイトルを目指せているので幸せです。

 僕がそう言うと、マチェイ監督はこう答えた。

 

「でも、本当に幸せになるには勝たなければなりません」

 

 そうだった。試合数が多いだけで喜んでいてはいけない。まずは明日だ。

 

(文:清尾 淳)