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Weps うち明け話 #1181

負けのあと(2023年11月6日)

 

 浦和レッズが今年の5月6日、ACL三度目の優勝を果たした後は、その4日後のJリーグ鳥栖戦に臨む選手たちのメンタルが心配されていて、それが原因だったかどうかはともかく、その鳥栖戦は0-2で敗れた。

 あれだけのビッグマッチの後だから仕方がないという見方もあったが、落とした勝ち点をほかでカバーしきれていない現在、振り返ると何とか踏ん張れなかったか、という思いがよみがえってくる。

 

 だが、いくら思いを馳せても過去は変えられない。ビッグマッチに勝ったあとの対応は、これからも学んでいけばいい。学べる状況を作っていけばいい。

 

 今はビッグマッチに敗れたあとが問われている。

 1勝1分け1敗で迎えた、ACLグループ首位の浦項とのアウェイ戦がルヴァンカップ決勝の4日後、そしてJリーグ神戸戦がさらにその4日後にある。

 

 浦項に勝ってもグループ2位という位置は変わらないが、残り2試合で逆転する可能性は残るし、グループ2位チームの中での上位になる可能性は高くなる。

 神戸に勝ってもJリーグ3位は動かないが、横浜FMの結果によっては、小さくても優勝の可能性、あるいは2位の可能性を残すことができる。

 つまり2つのホーム最終節。今季のJリーグ第33節とACLグループステージ第5戦を、希望を持って迎えることができる。

 

 残念なことに、来季への展望を見つける以外に楽しみのない最終節を、過去には何度も迎えてきた。そして、そういう試合ではそのの展望自体もなかなか見出せずに終わってきた。昨季、ルヴァンカップの準決勝で敗れた後のリーグ戦5試合は見るのが辛かっただろう。

 

 今季の残り試合でサポーターや浦和の街の人にそういう思いを味わわせるのか。それともわずかでも楽しみを持って迎えてもらうのか。この後の2試合に、まずは水曜日の浦項戦に懸かっている。

 

 僕は2019年のACLラウンド16を思い出している。韓国の蔚山現代にホームで1-2の黒星を喫し、かなり厳しい状況になりながら、過去一度しか勝ったことのない韓国の地で3-0の大勝。見事な逆転ベスト8を決めた試合だ。

 そういえば、アウェイで韓国勢と対するのはあの6月26日以来か。水曜日に勝つことの意義が一つ加わった気分だ。

 

 この8日、12日の連戦に勝利しても直ちに何かを得るわけではないが、ずぶとさ、ふてぶてしさという面の強さがチームに備わるに違いない。

 ビッグマッチに勝った後の試合は大事だ。

 だがビッグマッチに負けた後の試合はもっと大事だと実感している。

(2023年11月6日)

(文:清尾 淳)