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Weps うち明け話 #1186

まずはマティアス監督について(2024年1月17日)

 

 

 1月17日に言うのも間抜けだが、あけましておめでとうございます。

 

 ここ数年にないバタバタした年末で、年が明けると能登の地震があり、今度はメンタル的に落ち着かなかった。

 書こう、書きたい、と思うものの手が進まなかった。

 

 そんな僕の尻を叩くのはやはり浦和レッズ。

 1月13日にチームが始動し、14日には新体制発表の記者会見、15日は「感謝の会」があった。

 いつも頭の中で、ああだこうだとレッズのことを考えているが、大原や埼スタに行くのはそれとはまったく違う。レッズのチーム、あるいはクラブスタッフと触れ合うのは、いわゆる「現場」なのだ。試合はその最たるものだが、練習や記者会見、イベントなども十二分に現場だ。

 現場は、ああだこうだと考えてまとまらなかった頭をシャキッとさせてくれる。考えをまとめてくれるのではない。言うこと、書くことが自分の仕事だとあらためて教えてくれるのだ。

 

 13日から16日まで現場に行って思ったことのまとめを書いていく。まずはペア マティアス ヘグモ新監督に関して。

 

 前提として、2019年末に発表した、クラブがチームのコンセプトを定め、それに基づいた指揮官の選定と選手の育成・獲得をやっていくという方針は、どこまで堅持されたのかということは常に気になっている。

 そして、そのチームコンセプトの中にある「攻撃的」という部分がどこまで肉厚になるのか、ということだ。リカルド ロドリゲス監督の2年間もマチェイ スコルジャ監督の昨年も、攻撃的な部分を見せていたことは間違いないが、徹しきれなかった部分、あるいは試合で表現できなかった部分がある。それは監督の戦術だけでなく、選手の特性も絡んでいただろう。

 これに関しては、14日の記者会見における西野努TDの発言とマティアス監督の言葉で、ある程度納得できた。「ある程度」と割り引いているが、これは実際の試合を見ていないからで、早く削除したい四文字だ。

 

 大原で行われた3日間の練習は、かなり強度が高かった。ここ数年ずっとだが、始動からしばらくはランニングなど基礎練習が続く、なんてことはない。オフはオフで休むにしても、年が明けてからは自主トレでコンディションを上げておくのが常識なのだろう。1222日まで公式戦があったレッズと12月3日が昨季最後の試合だったクラブとではオフ期間にかなり差があったわけで、移籍組と残留組ではかなりスケジュールが違っただろう。それは詳しく聞いてみたい。

 強度の高さが目立ったのは、ゲーム形式のものが多かったからで、これはマティアス監督の考えだろう。その意図についても聞いてみたいが、選手たちにとってはいきなり新監督へのプレゼンテーションの機会になったわけで、張り切らざるを得なかっただろう。

 

 マティアス監督が記者会見で最後に言った「強い『学ぶ文化』を作りたい」「選手もスタッフも日々の練習で伸びしろをいかに埋めていくかということにチャレンジしてもらいたい」という言葉には興味を惹かれた。毎日の練習に漫然と向かうのではなく、今日は何を学ぶか、自分のどこを伸ばしたいか、それを頭に置いて行動するということだと思うが、僕自身に置き換えてみても、「今日は朝から、あれを書いてこれを片付けてどこへ取材に行って誰と飲んで…」とスケジュールをこなすだけではなく、新しい何かを学ぶんだという気持ちや、それらをやることで自分のどの部分が成長するのかという楽しみを持って取り組むことで、姿勢がだいぶ変わるはずだ。これは実践しようと思う。

 

 また15日の「感謝の会」では、レッズと契約したとき、日本へ行くことをノルウェーのヨーナス=ガール ストーレ首相に連絡したと明かした。

 日本の森保一監督も岸田首相と面識はあるだろうが、直接連絡を取る関係ではないだろう。ノルウェーにおいて、代表監督とはそういう存在なのだろうか。これも今度聞いてみたい。

 パートナー企業の代表者たちを前に「(レッズが)国際レベルのクラブになるにはパートナーとの強い協力関係が必要」とアピールすることも忘れなかった。

 

 新監督や新加入選手との関係を作るのは、この時期の大事な仕事の一つだ。

 マティアス監督は記者会見で、いきなり祖父が外国航路の船長だったと語り出したが、僕も父親が外国航路の船員でほとんど家にいなかったことを思い出した。大原で挨拶したときには、それを会話の糸口にさせてもらった。彼からいろいろなことを学んでいくのを楽しみにしている。

 

(文:清尾 淳)