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Weps うち明け話 #1206
ピッチからもスタンドからも(2024年10月24日)
今朝、起きたとき「勝ったんだよな」と自分の中で確認した。
忘れていたとか、負けたと思っていたわけではない。たぶん変に慣れてしまっていたのだろう。負けに、そしてホームで勝っていない翌朝に。
10月19日、東京V戦。味スタのプレスルームに入るなり、「清尾さん、4連敗っていつぶりでしたっけ?」と知り合いの記者から聞かれた。
おいおい。俺は検索エンジンじゃないぞ。聞かれればすぐに答えが出るほど物覚えが良いわけじゃない。しかも4連敗で?7連敗とかなら、あの年かあの年あたりだな、と予想が付くけど(複数あるのが悲しい)、4連敗ぐらいじゃ…、4連敗? おい、まだ3連敗だぞ。
「してから聞けよ」
そう言ってしまってから、あわてて「いや、しないけど」と付け加えた。「してから聞けよ」とは、俺としたことがなんて返事だ。まるで4連敗が予定されているみたいじゃないか。
だけど、そういうデータを試合が終わってから調べていたのでは仕事が間に合わない媒体の方が多い。だから彼らは手分けして調べていたところだったようだ。だったら家でも調べられるだろうに。
僕も頭の中でアタリを付け始めた。最近は覚えがない。あるとしたら2020年からさかのぼって調べればいいか。
と考えているうちに、調べがついたようで教えてくれた。2019年らしい。
2019年を見てみると、たしかに5月3日第10節・磐田戦から5月26日第13節・磐田までリーグ戦で4連敗している。
ただし、5月7日と21日にACLグループステージを挟んでおり、その2試合にはいずれも勝っている。アウェイのブリーラム戦とホームの北京国安戦だ。だから連敗している実感はなかったかもしれない。「気が付けば」リーグで4連敗、というやつで危険な状態とも言える。
東京V戦の結果、4連敗になってしまい、悔しくも彼らの調査が日の目を見てしまったわけだが、今の日程は、挟むACLも天皇杯もルヴァンカップもなく、"押しも押されもせぬ"4連敗。純粋リーグ戦4連敗だ。実感として重くのしかかっていた。そんなわけで冒頭の、目覚めの確認、になる。
柏戦。得点は終了間際のPKによる1点だけで、良い内容の試合だった、とは言えない。
ただ勝利への執念は強いものを感じられた。終盤に近付くにつれて強くなっていったと言うほうが当たっているだろう。球際の奪い合いやボールに向かうスピードなどで、絶対に今日は勝つんだ、という気迫を感じた。
それが、スコアレスが長く続き「1点取れば勝つ」という状況が濃くなっていったからなのか、4連敗のあとだから、なのか。おそらく両方だろう。今の状態を脱したい。最終的にはチームが描くサッカーが常にできた上で勝って行ければベストだが、そのためにもまずは1勝。なかなか、ビルドアップから良い形を作れない中で「まずは勝つ」という度合いが大きくなり、そのために「まずは絶対に失点しない」という意識が強くなっていったのではないか。
これでめでたしめでたし、とは誰も思っていない。
順位は4つ上がり、降格ラインは遠ざかったかに見えるが、勝ち点から言えばまだ安泰ではない。
また、これがレッズのサッカーのストロングポイントだというものは見えていない。練習でやっているビルドアップからのフィニッシュ、それがクリアされたときの二次攻撃などはかなりやっているが、公式戦でなかなか発揮されていない。
あと4試合半で、突き詰めるのは簡単ではないが、1試合ずつ前進したところを見せていって欲しい。
ところで、勝利への強い執念を感じたのはピッチからだけではなかった。
スタンド、それもゴール裏だけではなくメーンやバックからも、その気迫が伝わってきた。
水曜日の埼スタ、というやつなのだろうか。
(文:清尾 淳)