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Weps うち明け話 #1212

人生の半分に区切り(2024年12月2日)

 

 平川忠亮は2002年に筑波大学から浦和レッズに加入し、2018年で現役を引退。翌年から指導者として、トップチームとレッズユースを行ったり来たりしていたが、今季は初めてレッズユースの監督を務めた。

 現役選手としても、指導者としてもレッズ一筋で23年。人生の半分以上をレッズの一員として生きてきたヒラが来季、初めて浦和を離れ、FC琉球の監督に就任することが先日発表された。

 

 今季は、夏の日本クラブユース選手権U-18に出場。グループステージは「1位のみ勝ち抜け」という厳しいものだったが、21分けで勝ちあがり、準々決勝に進出。そこでG大阪ユースに0-1で敗れ、ベスト8に終わった。

 プリンスリーグ関東では、プレミアリーグ昇格プレーオフ進出を目指す懸命の戦いを続けてきたが、終盤、プレーオフ進出圏内の3位を確保するには勝たなくてはならない、東京ヴェルディユース戦で1-0の勝利。東京Vユースは今季無敗で、ダントツの首位を確定していたが、初黒星をつけた形だ。

 そして121日。アウェイの日産フィールド小机で行われた最終節で、横浜F・マリノスユースに1-1の引き分け。先制されるも同点に追い付いてからは勝ち越しのチャンスを何度も作ったが、勝ち切れなかった。勝利すれば無条件で3位だったが、ドローでも他会場の結果により得失点差での3位が確定した。

これで126日と8日、広島で行われる、各地区のプリンスリーグ上位チームとのプレミアリーグ昇格プレーオフに出場することになった。2試合勝ち抜けば来季は4年ぶりにユース年代の全国トップリーグで戦うことになる。

 

 来季、トップチーム昇格が決まっている照内利和ら高校3年生にとって、このプレーオフは後輩たちへの置き土産を残せるかどうかが懸かった2試合になるが、ヒラにとっては同時にレッズユースの監督として最後の試合になる。

 残念ながら126日、8日という日程では、広島に行くことはできない。プリンスリーグ最終節は僕がユース監督としてのヒラを取材する最後の機会だった。

 初の監督で、クラブユースベスト8,プリンスリーグ3位(プレーオフ昇格)という結果を残したヒラに、今年1年の感想を聞いたつもりだったのだが、口から出る言葉は選手たちの成長や頑張りについてばかりで、自身に関して言えば「彼らがたくましくなっていくのを見ることができた」ということぐらい。そして選手たちへの感謝だった。

 

 そうだ。まだレッズユース監督としての平川忠亮は終わっていない。それどころか、これからの2試合が最大の仕事だ。ここで3年生の選手には悔いのない力を発揮させること、そして2年生以下の選手に上のステージを用意してあげること。それしか考えていないだろう。

 

 本来はレッズユースのプレーオフ進出を大々的に取り上げるべきだ。

 だが、それは他の取材者たちにおまかせして、僕は平川忠亮に今年1年の感謝と、23年間一緒に闘えたことのうれしさを伝えたい。

 そして、またいつか共に闘えることを願う。

 

(文:清尾 淳)