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Weps うち明け話 #1217
証文あるいは宣誓(2025年1月8日)
昨日1月7日(火)、埼玉スタジアム内で2025シーズンの新加入・復帰選手記者会見が行われた。
今回、事前に「これを質問しよう」と決めていたことはなかったが、会見中に聞きたいことが出てきた。
それは堀之内聖スポーツダイレクターの発言の中に「Jリーグ優勝が最大の目標」ということが何回か出てきたからだ。
もちろん、それは常に我々が望んでいるところだし、クラブが目標に掲げるべきものだが、何回目かに「いつもより強調度合いが高いな」と感じた。堀之内SDが新シーズンの会見に臨むのは初めだから「いつもより」というのも変だが、Jリーグ優勝を「絶対に達成すべきもの」と考えているな、というのが強く感じられたのだ。
そこで質問したいことができた。
選手と話していてよく思うのは、この選手はJリーグ優勝というものにどこまで執着しているのだろうかということだ。
優勝したくない選手など一人もいない。みんな優勝したいと思っている。だが、その度合いはどうなのか。
できれば優勝したいのか。優勝しないよりしたほうがいいのか。しっかり戦っていれば優勝できると思っているのか。絶対に優勝したいと思っているのか。優勝を必須の課題として、そのためなら何でもする気なのか。自分が頑張るだけでなくチームの尻を叩いても優勝する決意なのか。
2006年に優勝してから18年間、優勝していないという悲しい経験から言えば、リーグ優勝というのは並大抵の努力では達成できない。
まずクラブのトップはもちろん、全スタッフがその気になる。それもチーム強化とか競技運営など、試合に直接関わるスタッフだけでなく、営業やホームタウンや総務も含めたクラブスタッフ全員が「絶対に今年は優勝するんだ」「俺たちは優勝できる」という気概と自信を持って臨まなければ実現できない。
もちろんファン・サポーターもそうだし、パートナーも同じ。レッズに関わるものすべてが「2025年、絶対にJリーグ優勝を果たすぞ」という固い決意と強い自信を持つこと、これが必要だと思う。
そして最もそれが要求されるのはチーム。実際にプレーする選手たちだ。
日々の練習の姿勢や生活態度、いろんな部分で優勝を目指して、全員が高め合わなければいけない。それを否定するような振る舞いがあったら、みんなで是正していくような、そんな取り組みが必要だと思う。
ということで、10人の選手たちにJリーグで優勝するには何が必要だと思っているか聞きたくなった。
自身の頑張り、チーム全体のこと、クラブのこと、応援のことなど何でもいい。範囲や条件を狭めずに、あなたがリーグ優勝のために必要なことは何だと思っているかを教えてほしい、という質問をした。以下が10選手のそれへの応答。
◎金子拓郎「チーム力が一番大事だと思う。負けの試合を引き分けに、引き分けの試合を勝ちに持っていくことが、リーグ優勝を目指すにあたってとても大事になってくる。そこは個人でも結果を残さなければいけないし、チームでも全員で練習から厳しくやっていくしかないと思う」
◎松本泰志「チームがひとつになることが一番重要だと思う。昨年優勝争いをした中で、負けや引き分けを引きずらないこと、メンタルですぐに切り替えることが一番大事だと思った」
◎長倉幹樹「勝ち続けるチーム力が一番必要だと思う」
◎根本健太「チーム全員がベクトルを同じ方向に合わせて、常に勝ち続けられるようにならなければいけないと思う。その中で自分が持っているものを全力で出しきってやっていければと思っている」
◎マテウス サヴィオ「みんな一人ひとり、それぞれ大きな目標があるのは分かっている。自分たちがやることは、日々の練習を全力で頑張る、そして試合ではファン・サポーターのみなさんを味方につけること。そうすれば必ず優勝できると思うので、それを日々の練習で頑張っていきたい」
◎柴戸 海「優勝するために大事なのは勝ち点。勝ち点を得るために失点をしない、試合に負けない、負ける試合を引き分けにする、引き分けの試合を勝ちにすることが大事だと思う」
◎髙橋利樹「ピッチ外ではみんな仲良く、ピッチ内では球際やあと一歩、あと1cmという細かいところを突き詰めて、練習に日々挑んでいきたいと思う」
◎荻原拓也「さまざまな要素があると思うが、まずはチームとしてもう一回自信を取り戻すというか、攻守においてしっかりとオーガナイズして、オーガナイズされたものに対してチーム全体が目線をそろえて団結力を持ってやることが大事だと思う」
◎早川隼平「とにかくチーム内の雰囲気を大事にしていかないといけないと思う。自分の経験の中で、岡山は厳しいところからだったかもしれないが、J1に昇格した。そのときのチームの雰囲気は、メンバーもそうだし、メンバー外の選手も誰一人欠けることなく同じ方向を向いて、外れそうな選手もメンバーの選手が戻してという、そういう雰囲気づくりが大切だと思う」
◎照内利和「チームが一つになって、同じ目標に向かって全力で闘うこと、そして当たり前のことを当たり前にやることが大事だと思う」
どれが正解、ということではない。
ある意味、証文を書いてもらったと思っている。「宣誓文」と言ったほうがいいか。
いちいち「お前、あの時こう言ったじゃないか」などという気はないが、自分が口にしたことを覚えておいてもらえれば、苦しんだ時、迷った時、帰るところになるのではないか。
自分はJリーグで優勝するために、ここにいるんだ。それを忘れずに毎日を送って欲しい。
今季は僕も、選手たちに「あの"優勝オヤジ"、うざい」と言われてもいいので、本当に口が酸っぱくなるぐらい「Jリーグ優勝」を言い続けたい。
そして現実には、開幕戦が決定的に大事だ。
今年もおそらく優勝候補の筆頭に挙げられるだろうヴィッセル神戸をアウェイで倒せば、世間の注目度も自分たちの自信も全く変わってくる。
優勝したい、ではない。
優勝しよう。
(文:清尾 淳)