- TOP
- Weps うち明け話
Weps うち明け話 #1219
3年ぶり2度目の優勝を(2025年1月22日)
「あれ? 清尾さん、浦和は…」
誰に言われたのかはもう覚えていないが、複数の人にそう言われたことは忘れない。
はいはい。レッズは天皇杯の準々決勝で負けましたよ。僕がいま国立にいるのは、全日本女子の決勝から帰るところなんです。
当時はまだ皇后杯が下賜されておらず、全日本女子サッカー選手権だった。そして決勝は1月1日に国立競技場で行われていた。
午前10時半という早いキックオフ時間と、90分で同点の場合は延長を行わず即PK戦というレギュレーションが、天皇杯決勝の前座であることをはっきり示していた。日本における女子サッカーの地位を物語っていた。
2011年1月1日、浦和レッズレディースは2年連続で全日本女子選手権の決勝に進んだが、INAC神戸レオネッサにPK戦で敗れ、初優勝はならなかった。
記者会見や選手の取材を終えて帰る時間と、天皇杯決勝のため記者たちが来場する時間が重なっていたので、知り合いの記者に会うのは必然なのだが、たいていの人が新年の挨拶もそこそこに冒頭の言葉を不思議そうに投げかけてきた。
僕が浦和レッズの仕事をしていることを知ってくれているのはありがたいが、レッズレディースが全日本女子の決勝に進んだことを知らないのか、と思うと、やはり女子サッカーの地位の低さに思いが至ってしまった。
浦和レッズは今日の天皇杯決勝に関係ないはずなのに、なぜあなたがここにいるのか。
そういう疑問を抱いた人に、内心の面倒くささを隠してきちんと説明し、さらにレッズレディースがINAC神戸レオネッサにPK負けしたことも伝えて、国立を後にしたのだった。
思えば国立で女子の決勝が行われているうちは、男女ダブル優勝の可能性もあったのだ。浦和レッズは第85回、86回と天皇杯を連覇していたのだから、決してかけ離れた夢ではなかったはずだ。
しかし女子の決勝はこの翌々年から12月中に行われるようになり、天皇杯も国立競技場の建て替えで、会場が替わり時期も元日ではなくなっていった。男女のレッズが共に国立で決勝を戦う、という初夢のような元日はとうとう実現せずじまいだった。
もちろん今では、この2つの決勝が同日、同会場で行われることはあるまい。
レッズレディースはWEリーグが誕生するまでに、皇后杯(以下、こう総称する)の決勝に5回出場している。WEリーグ誕生前、最後のなでしこリーグを制した2020年、シーズン二冠を目指して皇后杯決勝に臨んだ第42回大会は、準決勝、決勝が京都のサンガスタジアムで行われた。当時、京都サンガはJ2だったから、レッズレディースを応援するサポーターは、多くのレッズサポーターより前に、この駅近のスタジアムを訪れたことになる。もちろん僕も。
ベレーザとの決勝は、リードする相手に2度追い付いたが、そのたびにすぐ勝ち越され、3-4で敗れた。12月29日だった。
次の第43回大会。このシーズンからWEリーグが発足し、初めてプロチームとして臨んだ大会は準決勝以降が年を越し、決勝は2022年2月27日。レッズレディースは6度目のファイナリストとして、再びサンガスタジアムに足を踏み入れた。
そして、リーグ戦ではときに煮え湯を飲まされることもあるジェフレディースを相手に1-0の勝利。初めて皇后杯を手にした。
もうJリーグは第3節までを終えていた。レッズは開幕がアウェイの京都戦で、8日前にこのスタジアムで悔しい思いをしたばかりだったが、僕を含めた何百人かのレッズレディースサポーターにとっては、嫌な思い出ばかりのスタジアムではないのだ。
第44回大会は準々決勝で、昨年の第45回大会は決勝で、INACに敗れた。
今度の土曜日、1月25日はレッズレディースが3年ぶり2度目の皇后杯優勝を目指し、広島のエディオンピーススタジアムでアルビレックス新潟レディースと決勝を戦う。
僕は残念ながらINACを下した18日の準決勝を見ていない。沖縄キャンプの午前練習と午後練習の間で、宿に帰れずテレビを見ることができなかったのだ。友人がLINEで送ってくれる速報だけが情報源だった。
2年連続、悔しくてならない負け方をしたINACに逆転で4-1の勝利というのは、午後練習の取材中も心が躍った。
練習後、レッズレディースのことを気にしていそうな選手に感想を聞いた。
◎西川周作
決勝は13時ですよね。去年の決勝はテレビで見られたんですけど、今年も見られるかな。
猶本さんも復帰したそうで、それは喜ばしいことです。
前回の決勝は悔しい思いをしたので、今回はあのカップを持ち帰ってもらいたいです。サッコ(GK池田咲紀子)がゴールを守ってくれると思います。
レディースの活躍は刺激になります。まず、この時期に試合をしているということが、うらやましいですよ。いまアカデミーも活躍していますし、そういうことがすべて自分たちの刺激になります。
皇后杯、優勝してください。
◎大久保智明
猶本さん、出場したんですか!年末に会ったときにはキックの確認ぐらいだったのに。僕、年末にレッズランドでリハビリしていて、そのときに皇后杯に向けたレディースの練習を見ていたんです。
優勝して欲しいですね。年末、レディースジュニアユースが高円宮妃杯の決勝で負けちゃったから、余計にトップは優勝して欲しいです。
試合を見に行ったこともありますが、レディースは強いです。そのときは圧倒的でした。僕らも、圧倒的に勝つようにならないといけないです。
皇后杯、期待しています。
◎荻原拓也
小学生時代、塩越柚歩さんと同じサッカースクールに通っていたんですが、僕が小4で柚歩が小6で、当時はとても歯が立たなかったです。
レディースの活躍はうれしいです。同じシーズンに僕らも優勝すれば、浦和の街がもっと元気になるでしょう。アカデミー出身の選手も多くてすごいです。角田楓佳さんの兄、角田涼太郎(前橋育英高→筑波大学→横浜FM→海外)とはレッズジュニアユースで同期でした。
みんな頑張って、皇后杯、優勝して欲しいです。
(文:清尾 淳)