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Weps うち明け話 #1224

「高望み」から「次の課題」に(2025年3月17日)

 

 次のホームゲームがいつであれ、勝っている試合の終盤になるとMDPの見出しが頭に浮かぶことがある。

 

「連続ドロー、7試合目で決着」

「ホーム連続無敗記録更新を阻止」

「意義ある今季2勝目」

 

 316日のJリーグ第6節・鹿島戦。

 決して「勝った」と思っていたわけではなく、試合開始前も先制したあともずっと「勝て」と思っていた。

 ただ90分が近づくにつれて、2点目を取ることが主眼なのか1点を守ることに全力を挙げるのか、どこかで舵をはっきり切らないと、選手によって違っていてはそこを突かれてしまわないか、という危惧が大きくなってきた。

 

 アディショナルタイムは5分。46分に同点弾を食らったが、この試合では何度もチャンスを作っていたのだから、勝ち越す機会は1回ぐらいあるだろうと思った。

 だが、この試合でも2点目は奪えなかった。6試合で6失点目は平均するとまずまずだが、「堅守」と言われた一昨年の水準には達していない。そして6試合で4得点目は「得点力が…」と言われた一昨年の平均にも届いていない。

 

 冒頭に挙げた3つの見出しはいずれも実現しなかった。紙に書いたものなら破って捨ててしまえば済むが、頭に浮かんだものは、悔しさ、無念さと共にしばらく残るだろう。

 最も残念だったのは3つめの「2勝目」だ。初勝利を挙げても2勝目が大事だと思っていたので、それを首位の鹿島からアウェイで挙げて、さらに弾みをつけたかったのだが。

 

 勝ち点3が数分で1に減った悔しさは、おかしなもので負けた時よりも大きな気がする。落差の問題だろうか。気温が16度だったのがいきなり10度に下がったときは、8~9度が数日続いていたときより寒く感じるみたいに。

 そんなときにどんなポジティブな言葉をかけても気持ちは晴れないだろうが、一つだけ言えば4連勝中で首位の鹿島に、フロックで1点取ったわけではなく、主導権を握る時間が長い中で先制し、後半はもっと多くのチャンスを作った。

 終了の笛が鳴るまで続けないと意味はない、と厳しく言えばそのとおりだが、別になぐさめの言葉を探しているわけではない。事実として今季最良と言ってもいい時間が長く続いていたことは押さえておきたい。瞬間最大風速的ではあっても今のレッズは、そこまでは手が届く、と。

 

 ・試合の終わらせ方を全員がしっかり把握し意思を一致させること。

 ・2点目、3点目を決めること。

 この2つが課題として大きくクローズアップされたが、それは内容良くリードした数十分があったから目立つのであって、たとえば湘南戦や柏戦の後では、これらは「高望み」の部類だっただろう。しかし今なら「次の課題」と言える。

 

 鹿島戦のような試合をし、かつ2つの課題をクリアできるチームになるために、本当に覚悟を持って取り組み、スキルアップする期間にしてほしい。

 

 次の相手、C大阪にアウェイで最後に勝ったのは2019年の9月。ここ5シーズンはヤンマースタジアム長居でもヨドコウ桜スタジアムでも負けている。アウェイのC大阪は、6試合連続ドローだった鹿島よりも難敵だ。

 その試合に勝って今季2つ目の白星を挙げることは大きな意義があるはずだ。

 

 MDPの見出しは勝ってから考える。

 

(文:清尾 淳)