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Weps うち明け話 #1235

答え合わせは続く(2025年9月8日)

 

 先週、「#1234」で「宿題」をキーワードにしたときから、だったら答え合わせもしなくてはいけない、と思っていた。

 

 9月7日()Uvanceとどろきスタジアムで行われたYBCルヴァンカップ準々決勝第2戦、川崎フロンターレvs浦和レッズは死闘だった。

 変な言い方だが、死闘は勝つことで生きる。負けても得るものはあるが、死闘の末に負けるとダメージが大きすぎて、その中にあるポジティブな部分が見落とされがちだ。逆に勝った場合、喜びが大きくて改善すべき課題に目をつぶりがちになるが、死闘を制した自信は他の勝ち方では得られないものがある。

 

 まず、この試合を振り返りたい。

 

 前半、西川周作のロングボールから金子拓郎、小森飛絢へのロングボール、あるいはマテウス サヴィオから松尾佑介へのパスなど、惜しいチャンスはあったがゴールは奪えなかった。一方、川崎の攻撃が第1戦よりパワーを増していたことは間違いなく、PKを取られて失点。前半を0-1で折り返す。

 後半はレッズの選手交代が功を奏す。中島翔哉の動きやシュートが攻撃を活性化し、得点の匂いが強くなった。70分に川崎のFKがポストを襲ったのには肝を冷やしたが、72分に新戦力イサーク キーセ テリンが投入されると、2分後にいきなり同点ゴール。金子の右クロスに向かうと右足を伸ばして蹴り込んだ。

 逆転の流れだと思ったが88分に勝ち越し点を食らう。川崎の伊藤達哉の威力のあるシュートは第1戦の同点ゴールを思い出させた。しかし、これで勝ったと感じた川崎サポにレッズが水をかける。90分、金子が倒された直接FKから中島が放ったシュートはバーをかすめてゴール内に落ちた。9分のアディショナルタイムはどちらに点が入ってもおかしくない展開だった。

 後半の45分は得点も内容もレッズがやや上回ったと言っても、身びいきが過ぎることはないだろう。

 そして延長。この30分間は、乱暴に言えばその前の90分間と似た流れだった。

 前半、PKで失点し、後半はレッズが攻勢をかける。そこまでは同じだったが、15分間に放った枠内シュートはいずれもゴールを割れなかった。

 

 振り返ると悔しさもぶり返すが、それを堪えながら「宿題の答え合わせ」をしたい。

 

 前半の好調さを後半も維持できないという傾向に改善は見られたか。

 まず前半は好調とは言えなかった。チャンスも作っていたが無得点で、約1か月前の天皇杯・山形戦以来、7試合ぶりに前半を0-1で折り返した。後半はレッズが上回っていた。リードされている方がギアを上げた、というのはここ数試合の逆、つまりセオリーどおりの展開だった。ただ、交代選手が2ゴールを挙げたのだから「選手交代で流れが好転しない」という最近の言い方は当たらない。

 

 出場争い、あるいは先発争いに刺激を与えるような選手は現れたか。

 新加入FWイサークのゴールには驚いた。金子のクロスに届くかどうかという場所からグッと右脚が伸びたように思えたのだ。イサークは1対1の競り合いでもリーチの長さや体の巧みな使い方で、ボールを自分のものにしていた。用語として適当かどうかわからないが、他人に近付かれると不快に感じる空間のことをパーソナルエリアとかパーソナルスペースと呼ぶ。イサークはこのパーソナルエリアが広い、という言い方ができるかもしれない。

 そして中島翔哉の“無敵”とも言えるFKからの直接ゴール。これが高い確率で見られるなら、相手はエリア外でもファウルできなくなる。今季の前半、3試合連続途中出場はあったが、今回は3試合中2試合先発。プレー時間は段違いに長くなった。しかも2試合連続ゴールを挙げている。

 攻撃陣の競争が激化するのは間違いないだろう。

 

 シュートの決定率については大きくは改善されていない。

 ゴールが必要な時間帯に2度同点ゴールを決めたことは、改善だとも言えるが、3度目に必要となった延長では決められなかった。ただ入ってもおかしくないチャンスを作っていたのは、第1戦の後半と同じだった。ゴール前の相手の人数から言えば、難しい場面ではあったが。

 

 そしてアウェイでの戦いについて。

 90分の試合なら2度追いついてのドロー、というところで、改善とまでは言えないが悪くはない、とも言えた。しかし延長がある試合で、その30分間ではアウェイで0-1という結果なのだから、またアウェイで負けたという結果は残る。 

 

 宿題は答え合わせをして自主採点するもの、だと思う。7日の川崎戦では、今後に向けてプラスになる部分もはっきり見られたが、別の課題も出た。勝負を左右したとも言える2回のPK。ファウルになったプレーもそうだが、それを招いてしまった流れも含めて、今後は避けなければならない。答え合わせは終わらない。

「今後」というのはリーグ戦10試合だけになった。8月27日から12日間で天皇杯、ルヴァンカップと2つの大会から姿を消したことになる。これをただの「敗退」にしてしまうか、「苦い薬」「高い勉強代」として生かすかは、その10試合に懸かっている。僕は10試合の後を楽しみにしたい。

 

 メディカルスタッフのケアにより、ケガや痛みなどからプレーできるまでに“常人”より早く回復するのがプロ選手の特性だ。

 死闘の末に敗れた精神的ダメージからも早く回復して、まず13()のガンバ大阪戦に向かって欲しい。

 

(文:清尾 淳)