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Weps うち明け話 #1237
空いた日(2025年10月6日)
今日やるはずだった仕事の予定が急にリスケになって、まとまった時間が空いてしまったとき、あなたならどうしますか。
それが朝早く出かける予定だったら、とりあえずもう少し寝るかもしれない。あるいは、ふだん時間が取れない趣味に充てるかもしれない。
理想を言えば、明日か明後日にやるはずだった仕事で前倒しできるものをやってしまうのが一番だ。今日予定が変わったのはリスケであって、消滅したわけでないのなら、後日やらなくてはならない。つまり仕事の順番が替わっただけなので、空いた時間を仕事以外のことに使ってはならないのだ。
というのが真っ当な考えだと思うのだが、なかなかそうはいかない。昨日も“睡眠の借金”を返すことに使ってしまった。
などと、僕の自戒など誰も聞きたくないだろう。
けれど、予定外で空いた時間というのは、時に意味のあるものになる。
10月4日の神戸戦。セットプレーでの1点しか取れなかったのが残念だったが、久しぶりの勝利を味わった。
ヤマ場の一つはもちろん、イサーク キーセ テリンのゴールであり、それをアシストしたマテウス サヴィオのFK、そのFKを得た金子拓郎の突破、そしてそれを生んだ後半開始早々のレッズの攻撃だ。キックオフ時以外はボールを敵陣で動かし、先制点を生んだ。
だが勝敗を分けたのは41分のPKを西川周作が止めたところだろう。それまでは神戸が押し気味に見えたが決定機と言えるほどの場面は与えず、レッズの方が惜しいチャンスを作っていた。もちろん僕のひいき目と言われたらそれまでだが、4分のイサークの胸トラ~シュートや21分の安居海渡のミドル、30分の石原広教のヘディングシュートなどは「枠に行けば」入っていそうだった。これまで同様「良い攻撃をしていたがゴールを割れない」状況だったのだ。
そんな中、神戸の攻撃をしっかりしのいでいたのに、PKで失点してしまったら…。普通の失点よりも攻守にわたって精神的なダメージが大きかったのではないか。逆に西川が絶体絶命のピンチを救ったことが、失点しなかったということだけでなく、レッズの選手たちの闘志に火をつけた。実際、このPKのあと根本健太が素晴らしいスライディングで相手からボールを奪い、すかさずサミュエル グスタフソンにパスしたところから敵陣でFKを得たし、そこから根本自身の惜しいヘディングシュートがあった。さらに安居の2本目のミドルなど、攻撃が一段と活性化した。それが前半の終盤で、ハーフタイムを挟んで後半の先制点につながったと思えてならない。
9月の公式戦は▲●●●▲▲。僕は引き分けを▲で表示するので、こう書くと本当に勝利が久しぶりだと実感する。
神戸戦の後、サヴィオは「こんなプレーをコンスタントにできていたら、今でも優勝争いをしていたと思う」と語った。優勝争いができる力が本来あると思うのに、それができていない現状が残念でならない。
僕は、プロサッカークラブの役割とは、毎試合、特にホームゲームで面白い試合を来場者に見せ、満足して帰ってもらうことだと思っている。また、来場していないホームタウンの人たちにも「あ、○○○勝ったのか。良かった」と喜んでもらう材料を提供していくことも役割の一つだと思う。
それがベースであって、最良の役割はもちろん優勝だ。だが優勝は1チームしかできない。次善の役割は、優勝争いをしてファン・サポーターやホームタウンの人たちをワクワクさせること。それも一時期だけではなく、できれば最後のホームゲームまで可能性を残すことだ。
そして常々言っていることだが、浦和レッズの場合は、その「次善の役割」がベースだと思っている。2万席以上のシーズンチケットホルダー、総額40億円以上を提供してくれるパートナーを持つクラブは、ベースの役割が他クラブより高くても仕方がない。
今はまだ数字上の可能性を残しているから、それ以上のことは言わない。優勝ではなく、その可能性を残すこと自体が他力本願になってしまったが、そんなことは頭から追い出して、次の横浜FM戦に勝つだけだ。
そして、ここから12月6日の最終節まで、約9週間あるが、試合は5試合しかない。なぜならYBCルヴァンカップの準決勝、決勝と天皇杯の準決勝、決勝があるからだ。――違う、レッズには「ないからだ」。
当然予定に入れていた、これらの5試合がなくなった。まだスケジュール帳を書き換えていない人がいるかもしれない。
シーズン終盤の“空いた日”をどう使うか。
ここからの時間の使い方が、最終節までの試合、ひいては来季のスタートにもつながっていく。
ファン・サポーターはともかく、クラブとチームは有効に生かしてほしいものだ。
(文:清尾 淳)

