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Weps うち明け話 #1239

自信の底流にあるもの(2025年12月26日)

 

 

「はい、絶対勝ちます」

 

 今季から指揮を執る西谷冬樹監督のその言葉を、正直なところ僕は少々の驚きを持って受けとめた。

 レッズレディースジュニアユースの実力を疑う気持ちはさらさらないし、西谷監督の自信が意外だったわけでもない。ただ、試合前にはっきりと勝利を宣言する監督というのは、これまでの僕の経験上あまり多くなく、「がんばります」と全力を尽くす決意を表明するにとどめる人がほとんどだった。

 

 1225(木)、味の素スタジアム西競技場=AGFフィールド。「高円宮妃杯 JFA 30回全日本U-15女子サッカー選手権」の準決勝、JFAアカデミー福島戦に臨む、三菱重工浦和レッズレディースジュニアユースの西谷監督は、「(決勝が行われる)明後日も取材に行く予定ですので」という僕の言葉に対し、きっぱりと冒頭の言葉を返してくれたのだ。

 今季のレディースジュニアユースは、主大会である「JFA U15女子サッカーリーグ2025 関東 1部」を1位で終了。16238得点8失点と、2位に大きな差をつけて終了した。ただ、エリアが違うJFAアカデミー福島とはこれが今季公式戦初対戦。この選手権で過去9回決勝に進出し、5度の優勝を果たしている同チームが今回も優勝候補の一つであることは間違いなかった。それを認めた上での西谷監督の言葉は、非常に頼もしかった。

 

 立ち上がりは、フィジカルで勝るJFAアカデミー福島がペースをつかんだかに見えた。実際、体の当たりや一瞬のスピードでは福島が上回る場面が多かった。レッズレディースジュニアユースは球際の粘りや長短のパスワークで打開を図り、40分ハーフの34分、増田彩衣里の左クロスから福島ゴール前での混戦となったところを仙石みのりがルーズボールを見逃さずに押し込んで先制した。しかしアディショナルタイム。福島のCKから同点ゴールを決められ、前半を終えた。

 後半はレッズがほぼ試合の主導権を握った。相手の攻撃をカットすると左右のスペースにボールを出し、そこから何度も福島ゴールに迫った。ゴール前に人数をかける相手に決定機を阻まれていたが終了間際の80分、仙石が右からクロスを入れると、途中出場の小林花音が同サイドでコースを変えるヘディングシュート。ゴール前に入ってくる他の選手をケアしていた福島GKは対応できず(僕のカメラもそっちを狙っていた)、ボールはネットに吸い込まれた。あと数分でPK戦かという時間帯だった。

 

 試合が終わって僕は西谷監督の試合前の言葉を反芻していた。

 前半立ち上がり、相手にボールを持たれても落ち着いて対応し、先制した。後半はボールを握って何度攻撃を仕掛けても。守備を固める相手ゴールを割れなかったが、焦らず最後は相手の意表を突くシュートで決勝点を挙げた。

 西谷監督のふだんの姿勢が、選手たちに限りない自信を植え付けているのではないか。そんなふうに考えたのだ。

 

 決勝は27()11時から、味の素フィールド西が丘で、INAC神戸テゾーロと行われる。レッズレディースジュニアユースは優勝すれば大会最多優勝回数を更新するが、残念ながらこの選手権大会が冬に行われるようになってから5年、頂点には立っていない。

 

 試合後、祝福の挨拶と若干の取材をさせてもらい、最後に「明後日もがんばってください」と言う僕に、西谷監督はもちろんこう答えた。

 「はい、絶対優勝します」

 

 本大会通算8回目の優勝、西が丘での初優勝、そして西谷監督の初優勝を27日、見たい。

 もっと言えば、この中学生たちが数年後にレッズレディースのトップで躍動する姿を見届けたい。

先制点を生んだ増田彩衣里の左クロス

先制ゴールを挙げた仙石みのり

80分に勝ち越し点を挙げた小林花音(右から2人目)をチームメートが祝福

ピッチサイドで指示を出す西谷冬樹監督

 

(文:清尾 淳)