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Weps うち明け話 #1242

コインの表と裏、いや違う(2026年2月6日)

 

 

 いよいよ明日7日が開幕、と思っていたら、今日6日に金Jが3試合組まれていた。

 明治安田J1百年構想リーグは今日が開幕で、浦和レッズは明日が開幕戦。そういう言い方になる。

 年が明けてから、そんな日まで更新しなかったということで、自分でも不思議だ。今年は働いて、働いて…、と思っていたのに。

 

 ちょうど開幕戦の1か月前にあたる17日から行われた沖縄キャンプを取材し、浦和に帰ってからレッズ関係者に会うたびに「どうですか、今年のレッズ」と聞かれた。

 僕が答えたポイントは3つ。

 

 一つ目:大型補強がなかったこと

 今のところ、いわゆる“大型補強”がない。何を持って大型というか定義が難しいが、国内外の代表または代表経験者というのは一つの指標だろう。ワールドカップに出たことのない国の代表だと判断に迷うが。

 大型補強がなかったのはマイナスにとらえられがちだが、そうとも言えない。チームの戦い方を変えることが必要な大型補強があった場合、チーム作りに時間がかかることもあるが、今年はそれがない。だから選手間の連係が昨季1年間で磨かれ、スムーズに今年を迎えられていると感じた。

 

 二つ目:準備期間の短さ

 今季は始動から開幕までの期間が短い。チームを作り上げるための時間がいつもより少ないなら急がなければならないが、チームは促成栽培できるものではない。だからこそ昨季のチームをベースに準備をするというのは妥当だと思う。1年かけて熟成された部分は生かすべきだ。それが大型補強をしなかった理由なのかどうかわからないが、結果的には準備期間の短い今季にマッチしているのではないか。

 

 三つ目:ポスト・マリウスは誰か

 選手の出入りの「出」を見ると、昨季ほとんどの試合で先発したのはマリウス・ホイブラーテンだ。チアゴ・サンタナ、松本泰志、大久保智明らも先発することはあったし、途中出場でもそれぞれの持ち味を生かしたプレーで貢献してくれたが、最も心配されるのはポスト・マリウスだろう。

 昨季の実績から言えば根本健太がその第一候補で、根本のプレーは多くの人が知るように、空中戦や11などDFに必要な力はもちろん、正確なフィードで攻撃のスイッチを最後尾から入れる。さらに外国籍選手2人がセンターバックだった昨季に比べ、言葉の壁がなくなり、守備陣のコミュニケーションが格段に良くなる。代わりではなく、マリウスとは違う良さを持つ根本が出るなら、総合的に見れば昨季よりマイナスにはならない。

 

 上記に挙げた3つのポイントは、いずれもネガティブなことに聞こえる。だが、僕の感触では「それゆえに」ポジティブな方向に進んで行きそうなのだ。

 大型補強がなかったから、お互いのことをよくわかっている選手たちで戦うことができる。

 準備期間が短いから、昨年のチームをベースに戦う方が良く、上記ともリンクする。

 マリウスがいなくなったから、根本の縦パスが多く見られ、後ろからの声も多くなる。

 

 僕は今季のレッズのポジティブな部分とネガティブな部分を比べたときに、コインの表と裏かな、と思ったのだが、よく考えるとちょっと違う。

 コインの場合は表だろうと裏だろうと100円は100円だ。

 今季のレッズは、ネガティブな表があるからポジティブな裏がある。ただし表と裏がイコールではなく、総合的にはプラスだろうというのが僕の考えだ。

 上記の3つに加えて、昨季終盤、ケガの治療に努めて出場しなかった松尾佑介が元気だし、新人FW肥田野蓮治も練習試合で得点力をアピールした。早川隼平も練習でいろいろなポジションをやりながら、その経験が生きているのだろう、ピッチでは素早く正確な判断でプレーしている。

 また、もしセンターバックのもう1人に経験のある日本人選手が入れば、センターバック同士のコミュニケーションはもちろん、後ろからの声が一気に大きくなる。その候補である宮本優太も片山瑛一も、周りへの声掛けを盛んに行っていた。ダニーロ・ボザの起用に関わってくるので、簡単には判断できないが、2020年以来の日本人センターバックコンビがベースになる可能性もある。

 

 冒頭の、知り合いとの会話の最後に僕はこう言ってきた。

 昨季に比べて爆発的に強くなることはないと思われる。ただ守備、攻撃を問わず全体に底上げがされることは間違いない。それが結果に表れるでしょう。

 

 なんだ、7位から少し上がるだけか。

 そうとも受け取れるが、全ての試合で勝負の針が少しレッズ側に振られればどうだろう。引き分けが勝ちになって勝ち点1が3になり、惜しい負けが引き分けになって勝ち点0が1(今季は2かも)になれば。

 18試合という百年構想リーグの短期決戦では、そのわずかな針の振れが順位を大きく動かすのではないか。

 

(文:清尾 淳)