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Weps うち明け話 #1243

昨年対比でプラス(2026年2月9日)

 

 

 J1リーグ戦ではないので「何年ぶりの開幕戦勝利」と表現するべきなのだろうか、迷うところだ。

 それでも明治安田J1百年構想リーグの初戦をアウェイで無失点勝利した事実は揺るがない。

まず、そのことを喜びたい。相手が昇格チームの千葉であることや、失点していてもおかしくなかった場面があったことで、勝利の価値を低く見積もる必要はない。

 手放しで喜べる内容でなかったが、課題を残した勝利を続けていくことはシーズンを戦う上で重要なことだ。千葉戦で出た課題に目をつぶるようなチームなら、この勝利すらなかっただろう。昨季の反省をチームとして共有して改善に臨んできたことが生かされた。

 

 僕が感じた変化は、攻撃に移るスピード、あるいはバイタルエリアまで進むスピードだ。これはセンターバック同士のパス交換が極めて少なくなったことや、センターバックから直接前線へのパスが通りやすくなったことも要因の一つだが、それぞれの選手が前への意識を選択肢の一番に置いていたからではないだろうか。

 バイタルに進んでからのフィニッシュには課題が残る。2得点はいずれも速い攻撃からチャンスを得たもので、相手を押し込んでボールを持ったところからネットを揺らすシーンはなかった。ただ、攻めあぐねたという印象はあまり感じず、チャレンジしたがゴールには至らなかったというものが多かったと思う。

 

 昨季の序盤はいなかった選手たちの活躍は言うまでもないが、これも変化に加えていいだろう。

 肥田野蓮治は、後ろからのボールをヘディングで前線に送り、そこから松尾がPKを得た。21日の「大決起集会」で宣言したチームのファーストゴールは挙げられなかったが、先制点の獲得に絡み、さらには追加点を挙げたのだ。加入記者会見での「開幕先発」宣言と合わせて有言実行の新人と言って間違いないだろう。得点数の目標などは聞いていないが、「自分のゴールでチームを勝たせたい」という意欲は語っている。それが頼もしい。

 宮本優太は、予想以上のプレーを見せてくれた。チームへの指示やゴール前での守備に加え、左サイドを破られることが多いと見るや、相手の突破に対して猛ダッシュし、タッチライン際のスライディングでボールを奪った。2度ほど「あれ?」というミスがあったが、大事には至らなかった。これも課題として自分自身と味方との話し合いで改善していって欲しい。あとはドリブルで上がったシーンで何かを見せてくれていればもっと良かった。

 根本健太は、昨季見せたストロングポイントを存分に発揮していた。直接のゴールに結びついてはいなかったが、長短のパスで攻撃のスイッチを入れていた。相手に寄られてボールを失った場面は昨季の横浜FM戦を思い出させたが、これは相方の宮本が失点をしっかり防いでくれた。

 

 短い時間だったが、照内利和や早川隼平が開幕戦から出場機会を得たのも昨季との違いだ。

 それと後半、相手に押され気味の展開があったことはネガティブな要素だが、昨季だったら失点していたかもしれないところで失点しなかったことが、踏ん張れた要因になった。

危険なシュートをゴールライン際でクリアしたことも少なくなかったが、打たれたことをマイナスと見るか、防いだことをプラスに見るか――、その両面がある。それでも失点しなかったことは前向きに評価したい。もちろん打たせないための改善は必須だ。

 

 今回、良い方向に変化したことを定着させなければいけないが、その萌芽が見られたことは間違いない。

 そして昨季よりも悪くなった部分は、少なくとも僕の目には映らなかった。
開幕前に感じていた「前進の予感」は、どうやら間違っていなかったようだ。

 

(文:清尾 淳)