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Weps うち明け話 #1244

リーグ戦のPK戦(2026年2月16日)


 モヤモヤしていたものが何かやっとわかった。

 今さらかよ、と自分で恥ずかしくなるほど簡単なことだった。

 

 214日、明治安田J1百年構想リーグEAST第2節、味の素スタジアム、FC東京戦。78分に渡邊凌磨が先制ゴールを挙げ、勝利まであと3分程度となった時間帯に同点ゴールを決められた。残り時間で勝ち越しゴールを見られると信じていたが、それは叶わず90分が終了。本大会の規定でPK戦が行われた。先蹴りの東京は5人全員が決め、浦和レッズは2人目が外したので5人目が蹴ることなく3-5で敗れた。終了間際の失点で勝ち点2を失った、というのは通常のJ1リーグと同じだが、相手の東京に勝ち点2を与えてしまった無念さが大きい。

 

 PK戦の後で思った。

 緊張感が違う。

 

 PK戦と言えば、ほとんどのサポーターが思い出すのは2022825日の埼玉スタジアム、ACL準決勝の全北現代戦(○2-2 PK3-1)だろう。詳細は割愛する。

 これは4年前の試合で記憶に新しいと思うので最初に挙げたが、インパクトの強さで言えば19年前、20071024日の埼玉スタジアム、同じくACL準決勝で第2戦の城南一和戦(○合計4-4 PK5-3)に違いない。単純に「レッズのPK戦」と言えば、僕はこの城南戦が真っ先に思い浮かぶ。そしてこの2007年は1216日の横浜国際総合競技場、旧FCWC3位決定戦のエトワール・サヘル戦(○2-2 PK4-2)PK決着だった。

 

 次は? これも共通する人が多いかもしれないが、20161015日の埼玉スタジアム、YBCルヴァンカップ決勝のG大阪戦(○1-1 PK5-4)だ。

 勝った試合ばかりではない。この2016年は、PK戦での敗退が2回あった。一つは525日の韓国ソウルワールドカップスタジアム、ACLラウンド162戦のFCソウル戦(合計●3-3 PK6-7)と、1112日の等々力競技場、天皇杯ラウンド16の川崎戦(●3-3 PK1-4)だ。

 

 他には20081115日の香川県丸亀競技場、天皇杯5回戦の横浜FM(●2-2 PK5-6)20061223日の埼玉スタジアム、天皇杯準々決勝の磐田戦(○3-3 PK10-9)20041211日の埼玉スタジアム、チャンピオンシップ第2戦の横浜FM(●合計1-1 PK2-4)、同じく2004113日の旧国立競技場、Jリーグカップ決勝のFC東京戦(●0-0 PK2-4)がある。

 そしてはるかに遡って19921223日の旧国立競技場、天皇杯準決勝のV川崎戦(●2-2 PK3-4)

 以上、11試合が、浦和レッズがノックアウト方式の公式戦で戦ったPK戦のすべてだ。

 

 上記を書くのに日付やスコア、何回戦かというのは最終的に資料で確認したが、試合そのものは全部記憶にあった。FCWC3位決定戦を取りこぼしそうだったが、重箱の隅をつついたら出てきた。

 

 今回の百構リーグでは28年ぶりにリーグ戦でのPK決着が復活するということで話題を呼んでいる。いや、呼ぼうとしているのだろう。

 実際に1993年に始まったJリーグでは延長あり、PKありの完全決着制が人気を呼ぶ一つの要素であったことは間違いない。だが紆余曲折があって1998年を最後にリーグ戦のPK決着が廃止され、その後延長もなくなった。リーグ戦は90分で同点の場合、引き分けで勝ち点1ずつ。これで23年間やってきたのだ。果たして30数年前のような盛り上がりが見られるのか。

 

 一方、ノックアウト方式では当然ながら延長の末にPK戦まで行ってきた。勝ち上がりチームを決めなくてはならないからだ。この、勝った方が階段を上り、負けた方が姿を消すという緊張感は相当なものだ。それだけに勝った喜びも負けた悔しさも、90分で勝敗が決まったときを上回るものがある。

 それに比べるとリーグ戦でのPK決着は、もちろん得られる勝ち点が違うがその差は1。ノックアウト方式での「天国か地獄か」のような違いはない。

 僕が味スタで感じた違和感は、緊張感の差だったのだ。あれ? PK戦って、もっとドキドキしなかったっけ? と。

 

 もちろん守るGKもキッカーも、試合を勝つか負けるかの瀬戸際なのだから緊張感を持って臨んでいる。記者席で見ている僕に「緊張感が足りない」とは言われたくないだろう。だが負ければ敗退のノックアウト方式と同じ緊張感を保つには、その選手が自分で自分に気合を入れる必要もあるのではないか。

 そしてもう一つの要素はスタンドのサポーターの雰囲気作りだろう。90分応援してきた後にも気を抜かずに緊張感を保つのは簡単なことではないと思うが、踏ん張って欲しい。

 

 百構リーグのPK戦は、18試合という短期決戦のリーグ戦で順位の差を出すためでもあるのだろうか。33年前の盛り上がりを再現しようという意図であれば、まだ当時の熱量には達していないと思うが、レギュレーションはもう決まっているのだから今さら異議を唱えても遅い。

 浦和レッズは“順位決めリーグ”に参加しているのではなく、目指すのはEASTリーグ1位のみだ。勝ち点1の差で1位が決まるとして、それがPK戦ならばまさにノックアウト方式のそれと同じ重要性を持つものになる。そして第18節も第2節も、得られる勝ち点は同じ。そのときになってではなく、今から高い緊張感で臨んで欲しい。

 こんなことを言わずとも90分で勝ってくれればいいことはもちろんだ。

 

(文:清尾 淳)