Weps うち明け話 文:清尾 淳

#373(通算#738)

開幕カード

 聞いたときには、「何と安易な…」と思った。
 今季のJリーグ開幕戦。レッズはまたアウェイで広島と対戦することになった。これで前年優勝チームと開幕戦で当たるのは5回目となる。異常に多い気がするが、話題カードを作るためには、それも仕方ない。たしかにレッズと広島は、ミシャという共通項だけでも話題十分だし、前年チャンピオン対人気チームという図式もいいだろう。
 それにしても2年連続同じ、というのはどうなの? というのが正直な感想だった。

 だった。
 過去形だ。いや「安易だなあ」という感想は今でも変わらない。
 だけど今では歓迎する気持ちになっている。
 去年、開幕戦で広島にやられた。あまり言いたくないが、手も足も出なかった、に近い印象だった。前半、槙野が左から放ったシュートが西川にナイスセーブされた、あれが一番の決定機だっただろうか。ミシャ監督が5シーズン半鍛えたチームと、まだ2か月足らずのチームの差。というと単純すぎるし、森保現監督にも失礼な言い方になってしまうが、そういう要素を感じた。もう少し新戦術を実戦で浸透させてから当たりたかったなあ…と。

 だが開幕戦が終わってから、こうも考えた。
 ナビスコ杯の予選リーグでも当たるが、次のリーグ戦は終盤の32節。そのときまでにレッズがどこまで成長しているか、それを測る基準として、開幕での対戦というのは良いデータになるんじゃないか、と。
 そして実際に去年の11月17日。優勝戦線を走っている広島に完勝したことで、リーグ戦では3位に終わったものの、チームはしっかり成長していることを、ホームのファン・サポーターの前で示せた。

 その考え方でいくと、昨年とまったく同じ時期に、同じ場所で対戦するというのは、この1年間のレッズの変化を見るのに、ベストな状況ではないか。
 もちろんレッズだけでなく広島も優勝を経て変化しているはずだし、特に選手の顔ぶれの変化にはレッズに大きな要因があるのだが(苦笑)、他のチームと対戦するよりは、比べやすい。
 その点だけは、開幕カードの発案者に感謝している。

 昔、営業をやっていたころ上司からよく言われた「前年同月対比」というやつだな。
(2013年1月25日)
EXTRA
 サポーター望年会は明後日、27日(日)に迫りました。急な体調不良で欠席の連絡も来ており、あと数人の参加は問題ありません。ギリギリまで受け付けますので、ご検討を。

(2013年1月25日)

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