Weps うち明け話 文:清尾 淳

#389(通算#754)

今季二度目の笑顔

 昨日、6月2日は岡山の笠岡に行って来た。
 なでしこリーグカップ予選リーグ第2節、FC吉備国際大学Charme(シャルム)との試合だった。
 
 浦和レッズレディースは今季のなでしこリーグ前半戦を1勝2分け6敗の8位で終えた。1勝のあと6連敗、その後2連続ドローという流れだった。現在、全勝で首位のINAC神戸とは勝点24差がついており、もはやレッズレディースのなでしこリーグ優勝は目標の候補にならない。いや、現在2位の日テレ・ベレーザにしても勝点8差を後半戦9試合で引っくり返すのは、他人事ながら非常に困難だろう。
 今季のなでしこリーグの興味は、I神戸の優勝が全勝かどうか、ぐらいしか残っていない。I神戸に引き分けでもしたチームは大相撲でいう銀星扱い、1点取っただけで殊勲賞、そんな状況だ。

 レッズレディースの目標は、降格の可能性がない8位以上の成績でいることを前提として、どこまでリーグ戦の順位を上げられるかということ。とりわけホームゲームで良い試合、得点シーン、勝利を見せられるか、ということになる。また、アウェイだがI神戸から金星、すなわち勝利を挙げることが、順位とは別に目指さなくてはならないことだ。

 5月26日から始まったなでしこリーグカップは、今季のレッズレディースにとって何よりのインタバルになっている。
 今季、取材した試合は6試合、テレビで見たのは2試合。その感触では、8位にいるチームとは思えない。流れに応じた試合運びを意識することで、勝点は伸びそうだった。大事なことは選手が試合の経験を積むことで、その中で一つ勝利すればそれが自信になって、次の勝利につながっていくだろう。

 もちろん、トントン拍子に行くはずはない。
 現にリーグカップの初戦では、リーグ戦で今季未勝利の大阪高槻に、公式戦初白星を献上してしまった。だがリーグカップでの負けは降格にはつながらない。Jリーグの柏戦(国立)が始まる前に、高槻戦の結果を聞いたときは愕然としたが、居直ってそう考えた。今季のレッズレディースに不足している、チームとしての試合経験、そして自信をつけるため、計8試合のリーグカップ予選リーグ(もう2試合消化したけど)を戦い、レベルアップして、なでしこリーグ後半戦に挑む。レッズレディースだけが一人レベルアップするわけではないが、伸びしろの大きさは今季一番だと言ってもいいはずだ。
 何やらリーグカップを捨てているかのように聞こえるが、予選リーグで5チーム中2位以上に入ることもできなくはない、と思っている。そこで準決勝に進めば、さらに自信も生まれるだろう。昨日の勝利は、その可能性も示したものだった。

 プロ選手ではないレディースの強化は、Jリーグのそれとは違う難しさがある。それについては僕ももっと勉強しないと、軽々には言えないが、心情的にははっきりしていることがある。
 今季何度も見た、悔しそうな彼女たちの顔。リーグの後半戦では、彼女たち自身の力によって、それを笑顔に変えていって欲しい、ということだ。
 昨日、笠岡陸上競技場で、後藤三知キャプテンの破顔を見て、ますますそう思った。

(2013年6月3日)

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