Weps うち明け話 文:清尾 淳

#424(通算#789)

頑張れる言葉

 今朝は家を出るまで、よく晴れていることに気がつかなかった。
 昨日、ずっと細かい雨が降っていたからでもあるが、カーテンを開けるのも忘れていたからだ。
 MDPナビスコ杯決勝特別号の編集作業終了予定は明日。毎日、明け方から仕事をしなければ追いつかない。そこに、苦痛を感じないのは仕事熱心だからでなく、年寄りだからだが、さすがに毎日続くと眠い。だが目を覚まさせてくれるものがある。

 10月27日のリーグ柏戦。終わって一息ついていると、スタンドからサポーターに声を掛けられた。
「清尾さん、決勝のMDP、今年もやるよ」

 ナビスコ杯の決勝でMDPの特別号を初めて発行した2002年、一番のネックになったのは販売方法だった。ホームゲームではない決勝の会場では売ることができず、オフィシャルショップのレッドボルテージで販売するしかなかった。だがく遠く離れた国立競技場での試合のMDPをレッドボルテージで販売するといういのは、不合理なこと甚だしい。そこでやむなく決勝の前日から販売をすることにした。
 しかし、それでも試合当日にスタジアムで売るのとは大きくかけ離れており、MDPを求める人にみんな試合前日に浦和まで来るのは大変だ。
 そこで考えた。
 
 編集作業が終わって比較的時間がある自分が、まとめて買っておいて、欲しい人に分けよう、と。大勢の仲間がいるグループには代表者にドサッと渡せばいいし、最後は1人ひとり渡してもいい。
 それを、あるサポーターに話したところ、「俺らも手伝うよ」と言ってくれた。実際、1人では大変なので、他のサポーターにも声を掛けて手伝ってもらった。そうやって、試合の前日または当日、多くのサポーターにMDPを届けることができてきた。

 一昨年から、会場内のレッズグッズ売り場でMDPも扱ってよいことになり、通常のMDPの販売方法に少し近づいた。しかし、開場前には買えず、それでは開場前の待ち時間、いやサポーターが志気を高めていく時間に読むことができないので、やはり前日から販売するしかなかった。

 それが今回は、レッズサポーターが自由席の入場を待つ千駄ヶ谷門近くの当日券販売ブースを早朝から借りられることになった。当日券の販売があったら不可能なのだろうが(笑)。
 これで早朝から国立の開場を待つサポーターにも当日MDPを届ける足がかりができた。そして初めて、試合当日の発行となり、本当の意味での「マッチデー・プログラム」になった。
 ただ問題は残る。開門前に千駄ヶ谷門前に集まるレッズサポーターはおそらく数千人だろうが。彼ら全員がMDPを求めないにしても、1か所の当日券販売ブースだけで、とてもさばききれるとは思えない。
 やはり今回も僕がまとめて買っておいて、仲間に配ってくれる人が必要かなと思っていた。

 27日、埼スタで声をかけてくれたサポーターにはまだ何も話していなかったが、当然のように「今年もやるよ」と言ってくれた。ナビスコ杯の決勝については、エル・ゴラッソやサッカーマガジン、サッカーダイジェストでも特集されている。しかし試合当日にはMDPを読みたい、そう思ってもらえるだけでもありがたいのに、届ける手伝いもしてくれるというサポーターには、本当に感謝してもしきれない。そして、そこまでしてくれる思いに応えるものを作らなければならない、という気持ちにさせてくれる。

 今回、編集作業が完全に終わるのは明日、木曜日の午後になるだろう。それまでの24時間、埼スタで掛けてくれた彼の声を思い出しながら、頑張ろうと思う。
EXTRA
 決勝当日の朝、仲間に届けるのを手伝ってもいいよ、という人は連絡ください。詳細は直接。
 hag03546@nifty.com

(2013年10月30日)

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