Weps うち明け話 文:清尾 淳

#431(通算#796)

今シーズンを振り返る②「運か」

 秋ごろだった。ときどき昼食でお世話になる近所の洋食屋さんのご夫婦に「ところで、今年は優勝できるんですか」と聞かれたことがある。

「レッズは優勝できるのか」
 この仕事をやっていると、常に自分に問いかけていることだが、なかなか口には出して言えない疑問をサラッと言われてしまい、苦笑しながらこう答えた。
「運が良ければ優勝しますよ」

 無責任に聞こえるかもしれないが、それが9月ごろの実感だった。F東京と点の取り合いの末にアディショナルタイムに決勝点を奪われ、甲府戦は、同じくアディショナルタイムに勝点2を失った。湘南には先制して、後半追いつかれ、さらに逆転されたが、今度は90分に勝点1を拾った。
 終盤に勝敗の行方が変わる試合が続いたときだった。アディショナルタイムの得失点というのは、もちろん実力も反映されているだろうが、そもそも追加時間が何分なのか、どのタイミングで笛が吹かれるか、というのは運に左右される部分もある。
 11月10日の仙台戦で引き分けたときなどは、「運が良ければ」という自分の言葉を思い出した。

 第33節、鳥栖戦の後半、槙野がエリア内で2回倒されたが、2回ともPKにはならなかった。1回目はともかく、2回目は完全にドリブルに行く足が相手DFに引っかけられており、通常ならPKのシーンだった。僕は近くで見ていたが、高山主審は一瞬、笛を吹きかけたようだった。だがノーファウル。
「吹けよ、おい!」と言いそうになったが、槙野の倒れ方が大げさに見えたのかもしれない。あれがPKになって、それで1点を返していれば、まだ後半20分ぐらいで1-2になるわけだから、勝敗の行方はどうなっていたか。
 その前節、川崎戦でも後半、ドリブルする原口が相手DFから体当たりのように身体を入れられて倒された場面があった。そのときは1-2だったから、PKをもらっていれば同点になっていたかもしれない。
 
 だが、この2つの場面を取り上げれば、判定に運がなかったと言えるが、5月11日の鹿島戦や10月5日の大宮戦は、判定に運があった試合だ。他にも、自陣エリア内で「ヤバい!」と思った場面でPKを取られなかったこともある。プラスマイナスでゼロかどうかはわからないが、1シーズン通して運が悪かったということはない。
 もし微妙な判定や、アディショナルタイムの長さ・終了のタイミング、バー・ポストに当たって跳ね返ったボールのコースなど、多くの場面で運が味方してくれれば、レッズはシーズンの途中で首位に立っていただろう。そもそも上位のチームが負ける、というのも自力ではなく、運なのだ。

 こう書いてくると、今季レッズが優勝できなかったのは、運がなかったから、で済まそうとしているようだが、そうではない。上に書いたように、1試合の中で運・不運によって勝敗が分かれることはあるが、1シーズン通してみれば、どちらかに大きく天秤が傾くことはないはずだ。「運が良ければ優勝できる」というのは、逆に言えば、どんなことがあっても優勝できるほどの強さはなかった、ということだ。運を呼び込むのも実力のうち、とよく言われるが、本当に強いチームは多少の不運が重なっても勝つものだ。
 度重なる不利な判定や、不運があっても、そこを踏み越えて勝つ。そんなチームにしていかなくてはならない。

EXTRA・1
 試合の中で運・不運はあるし、それに勝敗が左右された場合は悔しくもある。でも、監督就任1年で上位争い、2年目で首位に肉薄するようなチーム作りをするのは、「運任せ」ではできないだろう。

EXTRA・2
「2014レッズサポーター開幕準備集会」(仮称)の参加者募集を開始します。極力、お金をかけずにやりますので、会場設営から片付けを全員に手伝っていただきます。またケータリングサービスやお酒の提供もありません。その分、対話と交流に時間を割きたいと思います。
 また参加者が少ないと開催する意味が半減しますので、申し訳ないですが、最少催行人数を50人とさせていただきます。
 会場設営の前段階の準備や企画について検討していただく実行委員を募集します。打ち合わせなどはすべてメールでやりとりしますので、事前に集まっていただく必要はありません。当日の集合時間が早くなります。
「2014レッズサポーター開幕準備集会」(仮称)
 日時:2014年1月26日(日)12時~16時(準備と片付けの時間を含む)
 場所:埼玉スタジアム2002「ボールルーム」
 内容:2014シーズンのレッズとサポートについて語り合う会
     ゲームによる交流会・宮崎キャンプ(予定)報告・写真展示・他
 飲食:軽食・スナックとソフトドリンク
 会費:1,000円均一(小学生以上)
 申込:メールでhag03546@nifty.comへ
    件名を「集会参加希望」にし、参加者全員の氏名、代表者のメールアドレス、電話番号を書いて送ってください。
 締切:第一次締切は1月10日(金)、この日までに参加希望者が50人に満たない場合は中止とします(参加希望者に埋め合わせはします)。その後は前々日まで受け付けます。
 備考:内容や、企画、当日の準備、進行、片付けを手伝っていただける実行委員を募集します。当日10時ごろ集まっていただくことになると思います。参加希望メールに「実行委員可」と書き添えてください。

(2013年12月18日)

  • BACK
 
ページトップへ