Weps うち明け話 文:清尾 淳

#854

マッチポイント

 人間が、時の流れに「1年」という区切りを付けるようになったのはいつごろからだろう。「1日」は太陽が昇って沈み、また昇るというわかりやすい現象が比較的短いサイクルで訪れるから、感覚としてとらえやすい。しかし、それが365回繰り返されるとまた同じ季節が巡って来るというのは、簡単には把握できないだろう。真冬に小春日和の日が続いたり、暖冬だったりすると感覚も狂う。それこそ何年か過ぎて、経験的に「ああ、これが一区切りなんだな」と1年間という時間をとらえることができたのだろう。インターネットや携帯電話を発明した人は凄いと思うが、そういう時間の感覚を数字で表した人も凄いと思う。

 1年という時間は、多くの植物が芽吹き、花を咲かせ、実を付け、枯れ、また芽吹くというサイクルから言っても、区切りとしてちょうどいいだろう。サッカーのリーグ戦も、準備期間や休息期間を含め1年の間で1シーズンの試合を行い、順位を決めるということになっているのは理にかなっている。
 2014シーズンという区切りの中で、レッズは優勝という結果を残せなかった。いろいろな面で一昨年よりも、昨年よりも前進したことは間違いないが、タイトルは「当社比」で与えられるものではない。

 今季、3試合勝ちなしが3回もあったのはいただけないが、とにかく連敗だけは一度もなかった。また1点しか取れない試合では無失点に抑えることで勝点3を取ってきた。絶対に負けられない第31節の横浜M戦で、今季最大の粘りを見せて無失点に抑え最後に勝ちを拾ったところも良かった。
 G大阪も最終節で徳島にスコアレスドローという、「やらかし」をやったのだから、レッズさえ名古屋にしっかり勝っていれば、G大阪の方が「詰めが甘かった」と言われていただろう。強がりではなく、リーグ優勝はどちらに転がり込んでもおかしくなかった。

 だがレッズは、マッチポイントに弱い、と言える。1試合を勝ちで収めることはできる。あるいは勝てば首位になるという試合で勝つことはできる。それがセットポイントの段階ならば。
 だが目の前に優勝がぶら下がるとラスト3試合のように、悪くない内容の試合をしても勝てないということになってしまうようだ。勝者のメンタリティーはあっても、王者のメンタリティーには達していないということか。
 最初から王者のメンタリティーを備えているチームはない。1試合1試合を、あるときは粘り強く、あるいはふてぶてしく、ときには薄氷を踏む思いで勝っていくことで、王手が掛かった試合でも「普通に」勝つことができるようになるのだろう。

 今季、勝てなかった試合で、何がいけなかったのか。何が足りなかったのか。
 徹底的に後悔し、選手たちで語り合って欲しい。そしてそれをチームの共通意識にすることで、マッチポイントで勝てるレッズになって欲しい。
 
 今年も1年間ありがとうございました。年明けは1月6日更新を目標にします。

EXTRA
「2015レッズサポーター開幕準備集会」(通称:決起集会)を行います。
 対話と交流に重きを置いた会ですので、食事やお酒入りのパーティーではありません。
 とは言え新年会的な要素もあり、激論を交わす会でもありません。初めての方もお気軽にご参加ください。
 ただし参加費を実費(会場費+会場設営から片付けまで、参加者自身の手でやっていただきます。
 また会場設営の前段階の準備や企画について検討していただく実行委員を募集します。打ち合わせなどはすべてメールでやりとりしますので、事前に集まっていただく必要はありません(当日の集合時間が早くなります)。
「2015レッズサポーター開幕準備集会」
 日時:2015年1月31日(土)12時〜16時(準備と片付けの時間を含む)
 場所:埼玉スタジアム2002「ボールルーム」
 内容:2015シーズンのレッズとサポートについて堅苦しくなく語り合う
 飲食:スナックとソフトドリンクのみ
 会費:1,000円均一(小学生以上)
 申込:メールでhag03546@nifty.comへ
    件名を「集会参加希望」にし、参加者全員の氏名、代表者のメールアドレス、電話番号を書いて送ってください。
 締切:第一次締切は1月10日(土)、この日までに参加希望者が50人に満たない場合は中止とします。その後は前々日まで受け付けます。
 備考:内容や、企画、当日の準備、進行、片付けを手伝っていただける実行委員を募集します。当日10時ごろ集まっていただくことになると思います。参加希望メールに「実行委員可」と書き添えてください。

(2014年12月25日)

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