Weps うち明け話 文:清尾 淳

#877

もうすこし、がんばりましょう

 明日の横浜FM戦に勝つと、レッズとしては3度目の8月全勝となり、これは2004年以来で、しかも4戦全勝というのはクラブ史上初だそうだ。
 だそうだ、というのはいかにも他人事のようだが、あまりそういう区切りで成績を見たことがないので、ピンと来なかった。「8月」というのは「夏」という意味で区切っているのかもしれないが、暑くなってきた7月からカウントすると、4勝2分け2敗の勝点14で成績的にはそれほど良くはないし、小中学校が夏休みになった7月19日以降でも3勝1分け2敗で勝点10だから、やはりこの夏の成績は「もうすこし、がんばりましょう」だ。1試合平均勝点2を合格点と考えた場合だが。

 7月以降というと第2ステージとイコールだ。つまり二回り目ということで、それには意味がある。監督が就任4年目となるレッズはJリーグの中でも研究しやすいチームだろうし、実際に一度対戦すれば、より今季の特徴が明確になり、対策を採りやすくなる。その中で、どれだけの成績が残せるかというのは注目されるところだろう。そして一回り目である第1ステージの8節までに挙げた勝点20をだいぶ下回ってしまった。

 一方、8試合の内容を見ると、第2節の山形戦は「もうすこし、がんばりましょう」を付けざるを得ないが、ほかの7試合は「よくできました」を進呈してもいいと思う。結果に引きずられてしまうと負けた試合や失点した試合で「よくできました」は付けにくいが、広島戦や甲府戦は、後半失点するまで勝利を確信してしまう内容だった。お前の見る目がないだけだ?
 そうかもしれないが。

 内容は「よくできました」で、結果が「もうすこし、がんばりましょう」だった7月19日からの3試合(広島戦、名古屋戦、甲府戦)と、結果も「よくできました」の8月の3試合(新潟戦、湘南戦、仙台戦)とでは何が違うのか。
 違うとすれば、東アジアカップによる中断で準備期間が十分にあったこと、勝ちなしが続いて選手の危機感が高まっていたこと、そして試合の序盤から相手がプレスを積極的にかけてきたこと、などだろうか。

 しかも新潟戦では先制されたのだ。
 主導権を握って先制した3試合で勝てなかったのに、主導権を握りきれないうちに先制までされた。
 ここで「もうあかん」とシュンとしてしまう可能性もあったが、レッズは「なんの、ここからだ」と逆に奮起した。それが3連勝のきっかけになったのではないだろうか。妄想が過ぎる?
 まあ、そうかもしれないが。

 だが少なくとも新潟に先制された時点で、レッズがパニックに陥らなかったのは事実だ。そこでの踏ん張りは、今季見せている変化の一つだと思う。それが8月に入って最初の試合だった、ということだ。8月4戦全勝は、その証として、ぜひ実現したい。
 ただ、それではまだ十分ではない。明日勝っても勝点は17で、9試合を終えたところでの合格ラインから見れば、まだ「もうすこし、がんばりましょう」だから。
 
 いや、シーズンが終わるまでは、そして1試合が終わるまでは、常に「もうすこし、がんばりましょう」という気持ちでいた方がいいかもしれない。都合よくまとめすぎ?
 だって、間違いないだろ。

(2015年8月28日)

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