Weps うち明け話 文:清尾 淳

#895

開幕しました

 寒いです、浦項。
 29日(月)の16時頃、現地についたのですが、本当に寒いです。今の関東なら早朝がそんな感じかもしれません。気温は4度でした。

 などという話は、こっちに来ない人にとっては何の関係もないかもしれないが、それぐらい衝撃的な寒さだった。2日(水)の試合に来る人は十分対策をして欲しい。
 と思ったら、2日は最高気温13度、3日が同17度という予報で、それぐらいなら関東でも普通だが、試合の時間帯まではまだわからないので、備えあれば憂いなし、当たり前のことしか言えない現地情報で申し訳ない。

 指宿キャンプの後、開幕前の緊張感を味わう余裕も、コラムを書く時間もなくどんどん日が流れていってしまったが、そんな中でレッズの「公式戦開幕2勝」という結果はしっかり残っている。
 昨季は第4戦でようやく勝点1を得たACLだが、今季は初戦で勝点3を挙げたこと。2014年以降、公式戦で勝ちがなかった日立柏サッカー場で勝利したこと(なんと2004年以来だ)。まずは、この2点が昨季との違いとして挙げられる。

 シドニーFC戦は、相手のセットプレーの多さにやきもきした時間帯もあったし、至近距離からシュートを打たれたりと危険な場面もあったが、結果は2-0。何度も書くようだが、昨季は前半に先制して最後まで無失点だった試合は、天皇杯準々決勝の神戸戦だけだ。今季、最初の公式戦で、先制しても集中を切らさず、しかも後半に追加点を挙げて完封勝ちという、完勝に近い結果を出せたのは、相手や運に恵まれたからだけではないだろう。

 柏サッカー場は、選手に聞いても他のスタジアムよりもアウェイ感が強いようで、昨季までの3試合すべてに先制しているが結果は負けか引き分けだった。今回も先制してすぐに追い付かれたところまでは同じだったが、その後レッズだけが点を挙げた。同点にされた時間帯は攻め込まれるシーンが続いていただけに、そのまま逆転弾を食らってもおかしくない流れだったが、よく踏ん張れた。微妙なノーゴールの判定あり、ポストに当たったシュートありと、サッカーらしくお互いに運と不運が入り交じっていたが、わずかの差を結果に結び付けることができた。

 2試合を見て感じるのは、今季は難しいことに挑戦しているな、ということ。そして今後が楽しみだということだ。
 攻守の切り替えを速くし、相手陣内でボールを奪い返す、というのは昨季から意識してきたことで、一定以上の成功を見ていた戦術。今季はそれをさらに推し進めるというのは、テストで90点取っていたのを95点、100点を目指そうというのと同じような難しさがあると思う。だが、それに挑戦しており、成功した場面はいくつもあった。一方、長い時間でそれができたかというと、中盤があいてしまうこともあったし、2人で取りに行けていたのが1人が遅れるようになったりと、いきなりベストにはなっていない。それでも勝利を呼び込みながら、挑戦を続けていくことで、ベストに近づいていくだろう。そういう意味で今後が楽しみだ。

 楽しみはまだある。
 シドニー戦では永田、青木が先発して勝った。2人とも昨季はあまり先発の機会が多くはなかったが、今季2人の初先発の試合で勝てたのは、チームの戦力が全体に上がっているということの証明かもしれない。
 さらにシドニー戦には柏木がほとんどの時間いなかった。そのため、攻撃時のバリエーションが少なかったように思う。そして柏戦で先発した柏木は、本人も認めていたが、まだまだ本調子ではなかった。柏木の力が十分発揮されなかった2試合で勝てたのだから、彼が調子を取り戻してからが楽しみだ。柏木以外にも、体調がまだ70パーセント程度(本人談)だったとは思えない動きをしていた李も今季は初ゴールが早そうだ。
 また、すでに2試合に出場した遠藤は、とりわけ柏戦で危機察知能力の素晴らしさを見せてくれたし、他の新加入選手や、ケガからの完全復帰も近い石原、3バックの中央で新境地を開きそうな槙野など、チームの総合力がどこまで上がっていくのか、そこが楽しみでならない。

 明日は今季初のACLアウェイで浦項スティーラーズとは初対戦だし、その次はリーグ戦ホーム開幕戦と、この時期らしく「初物」が続く。
 正直、まだ圧倒的な勝利は期待しない。だが、今シーズンも戦いながら成長を続け、シーズン後半には圧倒的な勝利を何度も見せてもらうために、この時期は結果を出していって、サポーターも含めてみんなが同じ方向を見るようにするのが大事なことだと思う。

EXTRA
 去年はシーズンが開幕してから初コラムを書くのにずいぶん時期が経ってしまったが、今季は3試合目の前にようやくこのコラムも開幕することができた。絶対に、昨日から浦項に来ているおかげだ。現在(正午)、外気は3度で、散歩する気にもなれない。昨日からデスクワークの捗ることといったら。

(2016年3月1日)

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