Weps うち明け話 文:清尾 淳

#907

目指すものと世間の話題

 この時期「優勝」という文字には敏感になっている。
 ただ、テレビや新聞がサッカーコーナーで発する、その言葉を聞いて、多くのレッズサポーターは若干の違和感を覚えているのではないだろうか。

 レッズの2ndステージ優勝目前!

 そう言われても、チームもサポーターもそこはあまり見ていない。
 年間勝点で2位以上が確定している現在、「2ndステージ・ウイナー」という称号が加わってもチャンピオンシップが有利になるわけではない。おそらく優勝が決まった日は、テレビ各局のスポーツニュースに選手たちが出演することになり、賑わうだろうが、それもチャンピオンシップを戦うのに弾みが付くか、と言われれば、試合日が離れているのでプラスもマイナスもないように思える。

 年間勝点1位。あと2試合でこれを確定させる。それしか考えていないだろう。
 次節、10月29日の磐田戦でレッズが勝ち、川崎Fが鹿島に負けると、レッズの年間勝点1位が決まる。他の試合に関係なく、自分たちがあと2勝すればいいのだから、あせる必要はないのだが、それでも年間勝点1位という、特に表彰式が待っているわけではない「形のない称号」には、非常に大きな意味がある。それも、できれば早い方がいい。

 まずはチャンピオンシップが、11月29日に決勝第1戦がアウェイで、12月3日に決勝第2戦がホームで行われることが決まる。第1戦の場所が等々力なのかカシマなのか(NACKの可能性もわずかにあるが)は11月23日の準決勝を待たなければわからないが、優勝が決まる第2戦が埼スタ、ということが決まれば、サポーターがようやく11月のスケジュールをあれこれ確定することができる。

 入場チケットの販売も、昨年よりずいぶんとスムーズになる。昨年の準決勝は、リーグ最終節の6日後という日程で、あるかないか最後までわからなかったから、券売も大変だった。入場者数が4万人台と意外に少なかったこととも無関係ではなかっただろう。

 チームも11月のトレーニングのスケジュールを決めることができる。今は12日の天皇杯4回戦が終わって、次の公式戦が23日なのか29日なのか決まっていない。どちらも代表選手以外は間が空きすぎているが、とにかく照準の合わせどころがはっきりする。

 もう一つは来季のACLだ。去年はリーグ3位という扱いだったので、天皇杯決勝進出が決まるまで、プレーオフからの出場を視野に入れていたが、
年間勝点1位ならばリーグ2位以上が確定する。来季のACLの日本出場枠はまだ正式に発表されていないから、はっきりしたことは11月のAFCの理事会を待たないといけないが、プレーオフなしでの出場の可能性は高くなるだろう。それは来季の公式戦「開幕」がいつになるか、チームがスケジュールを決めやすくなる。

 そして何より「年間勝点1位」という、本来のリーグ優勝に匹敵する成績を収めて、チャンピオンシップでも優勝し、名実共にリーグチャンピオンになるという目標がある。
 昨季もそれを目指し、2ndステージ第13節までは年間勝点首位だったが、14節で広島に逆転され、残り3試合でその座を奪い返せなかった。
 今季は、逆に14節で首位を奪い返した。残り3試合に全て勝って、それをキープすることが、昨季との違いを示すことができるだろう。ターニングポイントになった第14節の相手が同じG大阪だったというのは偶然だろうが、僕としては因縁を感じる。

 年間勝点1位をめぐる川崎Fとの攻防を試合にたとえると、後半35分にレッズが1点をリードして5分が過ぎたところ、というところだろうか。残り2試合、川崎Fと戦うわけではないから、目の前の相手、まずは1stステージで敗れた磐田にしっかりリベンジすることだ。
(EXTRA)
 2ndステージ優勝が全く無価値だと言っているわけではない。
 5千万円という賞金は決して小さくないし、月桂樹を模したような優勝トロフィーを昨季の左半分に続いて右半分も手にすることはうれしい。
 しかし次節でステージ優勝が決まって、年間勝点1位決定が最終節に持ち越された場合、周囲(サポーターを除く)の優勝フィーバーが、5日後の横浜FM戦にどういう影響があるか、心配になる。今のレッズは「いつもどおり」が一番勝利に近いのだから。
 ここはサラッといきたい。

(2016年10月27日)

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