Weps うち明け話 文:清尾 淳

#922

間違いなく言えること

 5月31日(水)、試合前にクラブスタッフとこんな話をしていた。
「ACLに初めて出た2007年、初戦のペルシク・ケディリとの試合は3万人ちょっとの入場者で、やっぱりリーグ戦でないと、これぐらいしか入らないのかなあ、とか言っていたのにね」
「そうだね。今だとACLで3万人と言えば、すごく入った試合になるね」
「でも2007年は、だんだんACLの面白さや意義が広がっていって、グループステージの最終戦は4万4千人だったし、準決勝の城南一和戦なんか水曜日で5万人を超えたっけね」
「あのころを戻すように頑張らないとね」

 ACLラウンド16、済州ユナイテッドとの第2戦。僕が記者席に着いた19時20分頃、スタンドを見回したときは、かなり閑散としていた印象だった。
 ところが試合が始まってふと気がつくと、北ゴール裏はかなりの席が埋まっていた。
 それだけではない。そこから発せられる声は、2万人より少ない人数とは思えない圧力を感じた。
 ハーフタイムに北ゴール裏のサポーターが中央に集まってきているのを見て「あ、久しぶりにやるのか」と思ったが、なかなか始まらない。選手が再入場するときにやった方がいいのに、いつ始めるんだろうと不安だったが、円陣を組んだ済州の選手たちは背中に「男なら」を聞いて、何が始まったんだ、と思ったかもしれない。
 終わったときの「We are REDS!」は言うまでもない。

 今季のレッズは、間違いなく二度目の対戦では、初顔合わせの経験を生かして、より良い試合ができている。
 そして、もう一つ。初めて埼スタを経験する相手チームに対して、大きな脅威となっていることも間違いなさそうだ。

 あらためて人数とパワーは必ずしも比例しないと感じた。冒頭のクラブスタッフとも試合後、「今日の応援は素晴らしかったね」「焦ることなく、チームと同じ方を向いていたね」と話した。
 もちろん入場者を増やす努力を忘れてはいけないが。

 それと「二つの試験」に合格したと言っても、タイトルを手にしたわけではない。大一番に勝った後の方が切り替えは難しいが、選手たちは試合が終わったときから、Jリーグ柏戦へ目を向けている。

(2017年6月3日)

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