Weps うち明け話 文:清尾 淳

#937

12月7日(木)

 午前7時半、ドバイ空港に到着。
 アブダビまでは車で1時間半くらいらしい。エミレーツ航空がサービスしている空港間の無料シャトルバスに乗るつもりだったが、同じ飛行機で来たスポーツ紙のレッズ担当記者3人と乗り合わせてタクシーで行くことにした。

 ドバイの街中に出るのは10年ぶり(3週間前は乗り換えだけ)。やたら細長い建物が多い。写真などで見たUAEの雰囲気がある。しかしアブダビに入ると、割と普通の形のビルが増える。共通しているのは派手な色彩はなく、白かベージュ、あるいは光を反射するような外壁のものが多い、ということだ。
 道は車線が多く、みんなかなりスピードを出すが、サウジアラビアに比べれば初心者マーク付きの運転かもしれない。サウジでは車線などあってなきがごとき運転で、車間距離などという概念もおそらくない。寸止め、寸かわしは普通のこと。昔の剣豪の「見切り」というのは、こうだったんだろうな、と感心したものだ。UAEのタクシーはどれも新しい車で、メーターなどもはっきりした明朗会計。安心・安全度はサウジよりだいぶ高かった。

 ホテルで一休みして、レッズの練習へ。19時からだが、この日は完全非公開ということなので早く行っても仕方がなく、19時にホテルをタクシーで出る。スタジアムまでは20分足らずで料金は1100円くらい。しかしスタジアムに着いたはいいが、練習場所が分からず、係員に聞きながら広いエリアを歩いた。UAEの人はほとんど普通に英語を話すが、僕は普通には話せない。「ゴーストレート、ターンレフト」などというだいたいの指示を受けて歩き、また聞いて歩き、という繰り返しだった。
「ザイード・スポーツ・シティー」はプールもあれば、テニスコートもあり、スタンドなしのサッカー場などいくつもあった。暗い中でレッズの練習場だけ灯りがついているだろうからそこを目指せばいいと思っていたのだが、明るいところだらけで、行ってみたら子どもがサッカーをしているとか、外ればかりだった。そのうち、人が並んでいる建物があり、まさかレッズの練習にこんなに地元のファンが来るはずはないしな、と思いながら行ってみたら、「WWE」(アメリカのプロレス)の公演だった。それはそれで見たかった。

 どう考えても、この辺だろうというところでクラブスタッフに電話したら、すぐ近くだった。初めから電話すれば、とも思ったが自分がどこにいるかわからないまま聞いても、きっと状況は大して変わらなかっただろう。

 19時からの練習は20時半を過ぎても終わらなかった。試合の前々日、紅白戦を含めてみっちりやっているのだろう。先乗りしていた新聞記者も多く、初日のアルジャジーラvsオークランドシティーを見に行ったという人に言わせれば「(アルジャジーラには)普通にやれば勝てますよ」と言う。安心しかけたが、そう思った試合で負けたことが今季何度あったことか。
 ようやく取材解禁になって、クラブスタッフと挨拶をかわす。何人か選手に話を聞いて、またタクシーでホテルまで帰る。

 帰ったら、山田直輝がレッズに復帰、という発表がされていた。半ば予想していたが、うれしいニュース。だが、これで中盤の出場争いがまた激化するな。

(2017年12月18日)

  • BACK
 
ページトップへ