Weps うち明け話 文:清尾 淳

#953

練習試合・名古屋戦

 2月7日(水)に行われた名古屋との練習試合はトータル4-4。45分×4本、90分の試合を2試合という形だった。得点を合計してしまう意味はあまりないと思うが、今回は1試合目3-3、2試合目1-1という結果で、どっちもドローだった。
 詳しく言うと、GK西川、DF右から岩波、マウリシオ、槙野、宇賀神、アンカー遠藤、中盤を長澤、柏木、前線が右からマルティノス、興梠、武藤というメンバーで行った1本目が1-2、ほぼ同じメンバーで29分に興梠からズラタンに替わった2本目が2-1。
 GK榎本、DF平川、橋岡、阿部、菊池、アンカー柴戸、中盤が武富と直輝、前線が李、ズラタン、荻原という3本目が0-0。GKが福島に、平川が練習生に替わった4本目が1-1という結果だった。荻原は3本目の17分に練習生と交代。ズラタンも4本目の24分に練習生と交代している。
 なお先日までレッズのフォーメーションは4-1-4-1という書き方で通してきたが、今回から4-1-2-3に統一する。

 1試合目前半の序盤は、両チームが共にビルドアップの最初のところにプレスを掛け合い、互いにチャンスをつぶし合う時間が続いた。いかに前線やサイドに良いボールを出して攻撃の起点を作るか、というところでレッズが先手を取った。32分、西川から始まった速いパス交換で相手のプレスをかわし、宇賀神が中盤にいた興梠へ。興梠が長澤に落とした段階で攻撃の体制が整った。長澤が右へ送るとマルティノスは少し運んでクロス。ゴールから離れたコースなのでGKは出られず、走り込んだ興梠がダイレクトでシュート。興梠は今季対外試合初ゴールを決めた。マルティノスもレッズ加入後、初アシストとなった。
 ただ、得点したすぐ後に失点するのは昨季もあった悪い流れ。2分後に自陣左サイドからクロスを上げられると名古屋の新加入、ジョーにヘディングシュートを決められた。さらに38分、今度は右サイドでの攻防から左に振られたところを飛び込んできた名古屋の和泉に合わされた。自陣でボールを奪い合った末に、逆サイドに振られて決められるパターンも昨季何度か見たと記憶している。ここも改善点だろう。

 後半は開始4分、自陣でのパス交換からボールを奪われ、送られたクロスをジョーに決められ3失点目。名古屋では、2得点の大型FWジョーも要注意だが、2点目を決めた和泉は1点目と3点目をアシストしており、この試合では最も危険な選手に見えた。
 しかし、そこからレッズが反撃。速いパス交換でチャンスを作り、遠めからでもシュートを狙う場面も出てきた。レッズが押し気味になった14分、右サイドでボールを受けた柏木が、同サイドからゴールへ向かう長澤にパス。長澤は角度のないところからファーサイドへきれいに流し込んだ。さらに18分、マルティノスが右からクロスを上げると、ゴール前で興梠が相手を引きつけ、ファーサイドに走り込んだ武藤が押し込んだ。

 2試合目の失点は後半20分、名古屋のFKを福島がキャッチに行ったがこぼし、そこを拾われて決められた。一方、得点の場面は36分、左サイドの練習生から送られたボールを李が中央で落とし、それを右サイドハーフの練習生が決めたものだった。
 2試合目で注目したのは柴戸。中盤や前線で味方がボールを失ったときに素早くアプローチし、相手のカウンターの芽を摘んでいた。また奪い返して再び攻撃に転じる起点にもなっていた。リスク管理、展開の読みに長けているという印象だった。

合計4失点、特に1試合目の90分で3失点したのはいただけないし、改善点ははっきりしているので逆に次は絶対に許してはいけないだろう。
 一方、ポジティブな部分も少なくなかった。
 まず、一次キャンプでは別メニューが多かった興梠が徐々に調子を上げ、この試合でゴールを決めたこと。本人も「足の状態も良かった」と言っているし、新加入のマルティノスとのコンビで点が取れたのも良い兆候だ。
そのマルティノスは右からのクロスで2アシスト。本領が発揮されたと言っていいが、本人が言う「もっと選手たちとコミュニケーションを取らなければいけないし、お互い何を求めているのかを試合で話さなければいけない」というのが実践されれば、これからもっと結果を期待できそうだ。
 一次キャンプから攻撃への絡みが目を引いていた長澤に話を聞くと「昨季はACLのノックアウトステージから出場し、失点できない状況の中でそれを意識していた。今季はそれをしっかりやりながらチャンスを作れるように意識したい」と語った。考えたら、大学時代は攻撃的な選手。そこも彼の持ち味だった。
 そして柴戸。一次キャンプの札幌戦の途中、青木がケガをしてからアンカーに入り、川崎F戦はJリーグ新人研修のため不在だった。名古屋戦で初めて90分、アンカーのポジションでプレーした。的外れかもしれないが、1995年、新人のころの土橋正樹のように、ピンチになりそうな場面に早く行ってくれて助かるなあ、という感じ。あのころ「一家に一台、土橋正樹」と言ったサポーターがいたが、それを思い出した。「自分の特徴を出せるのはアンカーだと思っているが、試合に出られなければそれも発揮できない。いろいろなポジションに取り組んで、能力を高めていきたい」と語る柴戸も次が楽しみだ。

とりあえず今回はこのへんで。

EXTRA
  回りのメディアも言っていたが、90分を続けて2試合というのは、さすがに疲れる。7日はホテルに帰ったら、あまり仕事ができなかった。貴乃花親方のインタビューに聞き入ってしまったせいもあるが…。

写真1

※写真01:1試合目の前半32分、興梠が対外試合初ゴールを挙げた

写真2

※写真02:1試合目の後半14分、ゴールを挙げた長澤。今季は得点への絡みが多くなっている

写真3

※写真03:2アシストのマルティノス

写真4

※写真04:ルーズボールのところに柴戸がいることが多かった

(2018年2月9日)

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