Weps うち明け話 文:清尾 淳

#955

特別な開幕

 いよいよJリーグが開幕する。
 鳥栖対神戸が今日行われ、レッズは明日が開幕戦。そして日曜日にも4試合があり、開幕戦がこうも五月雨式になるのは良くないと思うが、ルヴァンカップのJ2上位チーム(J1から降格したチーム)出場と合わせ、その是非を近い将来はっきりさせて欲しいものだ。

 レッズは4年ぶりにリーグ戦でシーズンの幕を開ける。4年前の2014年にもJリーグ開幕の前にACLは始まっていたが、あのときは自分たちの開幕の準備に追われて、あまり気にしていなかった。今年は日本勢の試合を録画も含めて全部見た。もちろん自分の忙しさは4年前と変わっていない。ACLという大会への関心度の違いだろう。
 日本勢以外の出場チームへの“親近感”もある。「髪型が変わってもタトゥーでわかるチャン・リンポン(広州恒大の5番)」とか「あ、ダムヤノビッチは水原に移籍したのか」とか「フッキ、少し絞ったか?」「蔚山現代の監督、キム・ドフンか、懐かしい。Jリーグに今ほど韓国籍プレーヤーがいなかった時代、ノ・ジョンユンの先駆けの一人だな」…。
 来年、待ってろ。
 気持ちの底で常にそう言いながら計8試合を見た。

 今シーズンは個人的な事情として60歳になって初めての開幕ということもあり、少し特別な思いもある。気力はあるにしても体力的には下り坂の一途のはずで、その中で迎える過密日程。「乗り切る」と言うと「何とかこなす」というイメージが強いから、「取り組む」と言おう。日程をカレンダーに書き入れて俯瞰したとき、思わず笑ってしまったのは、「駄目だ、こりゃ」ではなく武者震いに近かったと思う。

 そんな僕自身のことではなく、今季は特別な開幕だという思いがある。
 堀孝史監督が監督として迎える初めての開幕だということだ。
 2011年にはJ1残留という与えられたミッションをクリア。
 2017年にはACL優勝という栄冠を勝ち取った。
 今季は前年から継続して指揮を執っているものの、始動から監督を務めるのは初めてであり、文字どおりの「堀レッズ」が見られるはずだ。
 外国人監督のような派手な言動はない。喜怒哀楽の特に「怒」を人前で見せることもない。メディア的には話題性に乏しい監督だろう。本人も成績以外で話題になりたいとは、少しも思っていないはずだ。
 彼の選手時代もそうだった。周りがどうあろうと淡々と自分のタスクをこなす。、いや、取り組む。感情を表に出すのは勝ったときだけ。
 そんな堀監督のレッズのスタートが楽しみでならない。

(2018年2月22日)

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